「たっだいま~……」
「おかえりなさい」
「おかえりなしゃい!!」
帰ってきたら二人が出迎えてくれる。俺は、それだけで十分幸せだ。
「おとうしゃんおとうしゃん!」
「ん? なんだ~?」
あおいを両手で掴んで高い高いをしていたら、嬉しそうに俺の名前を呼ぶ。そしたら、「きょうも、おかあしゃんのおともだち! あそんだ?」って言ってくるから。
「(……不味い!)」
俺の顔をぺたぺたと触るあおいは嬉しそうだけど、俺の中では内心ひやひやだ。何故なら。
「(だってあれサプライズなんだから!)」
まだ悩みに悩んで選び切れてない。ただ、あおばを振り回している状態だ。
……不味い。これは非常に不味い。
「(そうだった。あおいをすっかり忘れてた……)」
いや、忘れてはいないんだけど、あおいがそういうことによく気が付く子だってことを。
「(俺のせっかくの計画が台無しになる。それだけはなんとしてでも阻止しなくては……!)」
これは、あおいにはもしかしたらバレるのも時間の問題かも知れないと思った。でも、これは絶対に負けられない。負けられない戦いなのだー!
俺は彼女を上手く丸め込んだあと、あおいに『負けないぞ!』の意味を込めて睨み付けたんだけど。……それをまさか、あおいが怖がってたなんてことは、知る由も無い。
「わ! あおいまた俺の仕事の修正してくれてる!」
仕事部屋に入ったら、俺の資料に間違いと、それからアドバイスが書かれた付箋が貼ってあった。
「……うむ。すでにあおいは部長クラスのようです。どうぞ」
流石自分の、……いや。くるちゃんの娘。出来がいい。そして見た目もとってもかわいい。
「そして自分が情けないぃー……」
自分の子どもに修正されるようではまだまだだ。
「えっと、なになに? ここは…………おお。なるほど」
あおいが眠ってしまってから、ちゃっかりその案を戴くことは多々ある。そして、会社でよく褒められる。自分がやったと思い切り言ってやる。だって俺はあおいのお父さんだから!
まあ、あおいに負けないよういろいろ勉強してるんだけど、……どうやらあおいの方が先に読み漁ってるらしい。負けてられない。それはもう、いろいろと。
そんなことを思っていても、平和だった。楽しかったんだ、毎日が。



