――――――…………
――――……
それから、マサキさんも気持ちに区切りを付けるために、彼女が眠る海へと向かった。
場所は静岡。熱海に近い場所で、あいつはあの時、どんな思いでオレらといたんだろうと。ふと過去を思い出す。
「(そうか。海がというよりも、場所に問題があったのか)」
確かに、海の話題が出てからあいつの様子はおかしかったけど、実際行った時は楽しそうに遊んでたし、大丈夫なんだろうと思った。トーマとのデートの海中散歩とか、水族館も楽しそうだったし。
それからマサキさんを引っ張って、なんとか海に連れてくることができた。
「マサキさん」
「……。……っ」
とんと。背中を押してあげたら、覚束ない足取りで彼は海の方へと向かっていった。始発でここまで来たから、まだ人はオレらしかいない。
「(マサキさん……)」
彼は、海に入ることはしなかった。ただ、波打つ手前で足を止め、崩れるように膝をついた。
きっと今、呼んでるんだ。あの時呼べなかった、あいつの名前を。声は聞こえない。ただ、背中で彼が泣いているのだけは、十分見て取れた。
「『紅葉』……」
オレも、そっと呼んであげた。そしたら、潮風がやさしくオレの頬を撫でた気がした。
「(大丈夫だ。何かあったらもう名前呼んじゃえばいいし、無理矢理にでもあいつに吐かせるから)」
順序は違うけどね。だって枯れちゃったら元も子もないもん。
「(……必ず助けるよ。あおいも、モミジも。オレが助けてあげる)」
クルミさんから父親の話を聞いて、もしかしたら彼女よりも会うのが難しいかも知れないと思った。
「(……ちょっと、まだ怖いけど)」
最後の駒を、手に入れる時が来たみたいだ。
「(――さあ、行こう)」
すべての人たちを助けに――――。
――――……
それから、マサキさんも気持ちに区切りを付けるために、彼女が眠る海へと向かった。
場所は静岡。熱海に近い場所で、あいつはあの時、どんな思いでオレらといたんだろうと。ふと過去を思い出す。
「(そうか。海がというよりも、場所に問題があったのか)」
確かに、海の話題が出てからあいつの様子はおかしかったけど、実際行った時は楽しそうに遊んでたし、大丈夫なんだろうと思った。トーマとのデートの海中散歩とか、水族館も楽しそうだったし。
それからマサキさんを引っ張って、なんとか海に連れてくることができた。
「マサキさん」
「……。……っ」
とんと。背中を押してあげたら、覚束ない足取りで彼は海の方へと向かっていった。始発でここまで来たから、まだ人はオレらしかいない。
「(マサキさん……)」
彼は、海に入ることはしなかった。ただ、波打つ手前で足を止め、崩れるように膝をついた。
きっと今、呼んでるんだ。あの時呼べなかった、あいつの名前を。声は聞こえない。ただ、背中で彼が泣いているのだけは、十分見て取れた。
「『紅葉』……」
オレも、そっと呼んであげた。そしたら、潮風がやさしくオレの頬を撫でた気がした。
「(大丈夫だ。何かあったらもう名前呼んじゃえばいいし、無理矢理にでもあいつに吐かせるから)」
順序は違うけどね。だって枯れちゃったら元も子もないもん。
「(……必ず助けるよ。あおいも、モミジも。オレが助けてあげる)」
クルミさんから父親の話を聞いて、もしかしたら彼女よりも会うのが難しいかも知れないと思った。
「(……ちょっと、まだ怖いけど)」
最後の駒を、手に入れる時が来たみたいだ。
「(――さあ、行こう)」
すべての人たちを助けに――――。



