夜中、アオイは苦しそうになりながらも、自分のことを話してくれた。
みんなして驚きを隠せないようだったけれど、でもどこか今までの話が繋がるような、そんな感覚に陥ったようにしばらくしたら落ち着いた。
それから、先程シントさんを捨ててきたらしい。どうやら、コズエ先生が変装して一緒について行ったみたいだ。家はついてきてなかったみたいで、取り敢えずバレることはないそうだけど……。
『多分だけど北の、西に近い廃工場にシントはいると思うんだ』
どうしてそうなのかはよくわからなかったけど、コズエ先生、それからアイ、カオル、レンで、シランさんがシントさんを見つけるまで、彼らにバレないように守ることになった。
『皇宛に今日荷物も送ってたから、3月いっぱいにはシントを見つけ出してくれると思うよ』
そのアオイの言葉を信じて、3月の終わりにあいつを追い込むことに決定した。
それからみんなに後を頼んで、オレは朝方、マサキさんと一緒に京都へ。全ての情報を、必ず掴みに行くために。
「………………」
「(マサキ、さん……?)」
約束の時間には来てくれた。新幹線に乗って、京都にも行ってくれてるんだけど。マサキさんはその道中、ずっと眉間に皺を寄せて、一言も話そうとはしなかった。
「……レンタカー、借り行くで」
「あ。はい」
京都に着いてやっと話したかと思ったら、それだけ話してスタスタ歩いて行ってしまう。
「……あの、マサキさん」
「………………」
なるほどなるほど。これはどうやら、フジばあよりもよ~く知ってるな。望月さんのことを。
「(う~ん……)」
別に、彼について調べようなんて思わなかったから、今まで何も知らなかった。
「(電話を掛けてから様子が変だったし、それに……)」
『……柾くん……』
今日マサキさんと一緒に京都へ行くことを、夜中みんなに話したら、理事長がどこかつらそうにそう小さく呟いていた。
……理事長は何か知っているんだろう。けど、やっぱりこういうことは本人から聞くしかない。
「マサキさ~ん」
「………………」
レンタカーを借りて、望月へと近づく度にマサキさんの表情が歪んでいく。……そういえば、マサキさんはチャイムを鳴らすことを嫌がっていたな。俺は絶対にしないって。
「(でも、このままっていうのも不味い)」
マサキさん、何か知ってるんだ。それも悪い意味で。
……オレは、心を決めた。
うん。ここで死んだらごめんね。アオイ、あおい。



