そしたら、なんか知らないけど髪ばっさり切って、眼鏡を外したアカネが登場。
「え。どうしたのそれ。ちゃんと仕事してたよオレら」
「いやいやヒナタはしてねえだろうが」
「いやあ。あおいチャンに切ってもらっちゃった」
「「「「なんとお!?」」」」
それがムカついたのか、みんながアカネの髪をぐしゃぐしゃにしてたところを、またパシャリ。
「あんたはそれでいいんかい」
「うん。めっちゃ楽しい」
「あ。そう……」
それからあおいがエンジュさんをアッシーにして来たけど、まさか本当にちょっと警察さんのお世話になってるとは。今捕まったら多分一生出られないからね。焦ったし。
それから最上階まで上がって、オウリとばったり再会した。まあ、ここはあおいに任せましょう。
「…………………………」
えー……。さっきからエンジュさんが、オレのことを睨んでくるんですけどー……。
絶対あれだよね。なんで連絡先知ってんだよって。……うん。理事長から聞いたってことにしよう。間違ってないし。
「(つんつんっ)」
「ん? どうしたのオウリくん?」
「(ぱくっ)」
「……!! か、かわいいっ……!」
手巻きをみんなで食べてたんだけど、自分の悪ふざけで、オウリの身が危うくなってたのを、みんなで助けてやった。
片付けをしていたら、オウリとあおいは二人でどこかに行っていた。……だったら、オレは……。
「ちょっとツラ貸せや」
「……はい」
めっちゃ怖いんだけど、このゴリラさん。
そのあと、ベランダまで連れてこられた。……ヤバい。オレは今からここから突き落とされて死ぬのかもしれない。
そんな死に方一番嫌だし。どうせならあおいを守って死にたいぃぃ……。
「連絡ありがとな」
「え?」
お礼を言われた。……わかった。そうやってオレの隙を突いて、ぶっ飛ばすつもりなんでしょ。そうなんで――――。
「いや違うからな? しかもさっきから丸聞こえだぞ。お前まで俺のことゴリラって言うのかよ」
「え? どういうことですか?」
「いや。聞こえてることに突っ込めよ、先に」
「おおすみません。つい本音が」
「へえへえ……」
「にしても、何故お礼を?」
「何って、教えてくれたじゃねえか」
「オレはただ、今日は仕事休んでゴロゴロしたらどうですかって言っただけじゃないですか」
「わかった。言わなきゃいいんだな」
「物分かりのいいゴリラで助かります」
「マジでお嬢ちゃんみたいだな」
「え?」
「似てるなと思っただけだ。お嬢ちゃんとヒナタが」
「……あんな変態と一緒にされたら困るんですけど」
「そういうことじゃねえんだけどな」
「……?」
「でも、どういうことかわかんなかったが、あの子から連絡が来て、そういうことかって思った」
「……オレが言ったって、言ってないですよね」
「言うなって書いてたじゃねえか。言ってねえよ」
「それはどうも」
「にしても、どうして俺の連絡先知ってたんだ?」
「……ちょっと、いろいろありまして」
「なんだ。なんかあったのか」
「それはあとで言うとして。……エンジュさん、オレが言わなくても今日休んだでしょ、仕事」
「いや、午前中だけにしようと思ってたんだ。カリンがあの状態だったし。最近はすぐに落ち着きはするから。……だから、一日休んでよかったっつったんだよ」
「……そっか。それならよかった」
ちょっとは、役に立てたかな。



