すべてはあの花のために❾


 そう言う先生に、みんなが「どういうことだ!」と叫び出すけど。


「ちょっと。あいつ寝てんだから、これ以上デカい声出すんだったら窓から突き落とすよみんなのこと」


 そう言ったらみんなの顔色が悪くなった。……何、冗談なのに。


「なあ。オレ、お前とどっかで会ったような気がするんだけど」


 そう言ったのはチカに、カオルはにや~と笑った。


「アタシも。そのムカつく喋り方、ウザい感じ。なんかさっきから引っかかってるのよね」

「え。失礼ですねっ。ねえコズエさん?」

「その通りだから何も言えないわ」


 ツバサも、記憶は忘れても何か引っかかってるみたいだ。


「(アオイは、きっかけって言ってたっけ。それかトリガー? まあ一緒か)」


 こいつが現れただけじゃ、ツバサは思い出せてない。チカは……まあよくわからないけど。


「あれれ~? お二人とも、まだ思い出せないんですねえ」


 カオルの嫌みったらしい言い方に、みんなのイライラが募る。


「ちょ、……カオル。何したの二人に」

「え? したのはこっちのオカマさんだけですけどお? ネコさんはあ、……どうやらど忘れみたいですけどねえ?」

「……!?」

「お前は……っ!!」


 カオルがそう言ったことで、チカとツバサはどうやらその時のことを思い出したようだ。


「ネコさんは、まあアレを使ってないから思い出せたとしても、オカマさんは何となくわかっただけで、ちゃんと思い出せてないみたいですねえ?」

「……ッ!」

「つばさ……?」


 悔しそうに顔を歪めるツバサに、みんなが心配そうな顔を向ける。


「ちょ、カオル。それ以上は……」

「コズエさんはちょっと黙っててくださいねえ(ちゅっ)」

「……!? あんた、いい加減に……ッ」

「ちゃんと謝りたいんです。だから、この機会を貸してください」

「カオル……」

「終わったら愛してあげますから」

「いらないからさっさと謝りなさい」

「はあい」

「(謝る……?)」


 にっこりカオルは笑って、先生からやっと離れてベッドから立ち上がる。


「皆さんには、きちんとお話ししますねえ」


 そう言ってカオルは真面目な顔をして今まで仕掛けてきたことを話し出した。