すべてはあの花のために❾


 それからバスの中では、あいつがノートに書かれた棒人間(だと思う、キサ画伯だし)を、そっと愛おしげに見つめていたのを横目でちらりと見た。


「(……大切な、人か)」


 それに、守るとか助けるとか、何回も言ってた。


「(大切な人を守りたいのは、オレのせいなのかもしれないな……)」


 あの、4月のはじめに花畑で叫んでいたのを聞いたから。


「(……でも、なんか引っかかるんだよね……)」


 その、あおいが守りたい本当の意味を知るのは、もう少し後の話。



「かなく~ん!」


 ユズに時間と場所を教えてたので、笑顔で迎えてくれた。


「(まだユズは、カナのこと……)」


 見ただけで、そんなことわかる。オレと目が合ったら、小さく笑っていた。


「(……あおい?)」


 ちらり、後ろを歩くキサとあおいを見たら、あいつの雰囲気が少し暗くなっていた。


「(何があったんだろう……)」


 そう思いながらも、公園に来てカナに話す機会をあげるため、一旦二人だけにしてあげた。
 それからそんな二人を温かく見守りながら、飲み物でも飲もうということになって自販機へと行った。


『……キサ。様子がおかしいから話聞いてやって』

『……わかった』


 そう目でやりとりをして、オレはみんなに交じって遊んでたけど、まあ気になってしょうがなかった。


「(あ。ユズ……)」


 カナと話し終わったのか、ユズが加わって女子三人で話をしていた。


「……カナ。ちゃんと話せたの?」

「うん。ユズちゃんにちゃんと言えたよー。ヒナくんもあれ、ユズちゃんから預かってくれてありがとねー」


 そっか。ユズが言ったのか。まあいいけど。ちゃんと返せたんならそれで――――――。


「ムー〇ティアラアクション!」

「――ぐへ!?」


 な、なんか知らないけど、あおいが美少女戦士の技を叫びながらカナに突っ込んできた。(※ただの頭突き)


「言葉が足りてないんじゃあ! 弱虫があ!!」

「痛い痛い痛いー!!」


 今度はそう叫びながらカナに四の字固めを掛けていた。でも、そう叫びながらカナが笑ってるのが気持ち悪かったからパシャリ。ここも写真に収めておく。


「アオイちゃーんっ」

「うぎゃあー!?」


 けどカナがいつの間にかあいつの技から抜けだして、しかも抱きついていやがった。みんなでそれを必死に引き剥がそうとしたけど、これはこれで面白かったので、一旦離れてまた写真を撮っておいた。

 あいつと入れ違いに、今度はユズのところにカナが行った。それからいつの間にかキサも来た。


「……大丈夫だった?」

「ま、難しいね……」


 キサの顔が暗かった。一体何を話したのか。
 キサはチカのところに行って、ツバサと一緒にいじめてた。

 あおいは……カナの後ろ姿を、横目でずっと見つめていた。


「(保留って、やっぱり……)」


 どこか苦しそうに見つめるあおいを見て、自分も少し胸が痛くなる。