すべてはあの花のために❾


「……はなさん。もういいんじゃないですか?」

『本当に。みんな、許してくれるの……?』

「はあい。ちゃんとスピーカーであなたがしたことも全部聴いてましたしい?」

『……やっぱり』

「私たちも、まずはあなたの方にきちんと謝罪することができてよかった」

『謝ることなんて。……みんなの方こそ、ないのに』

「みんな、それぞれいろいろ抱えてきたの。……今、ちゃんと分かり合えた。きちんとした味方になれたのよ」

『……味方……』

「アオイ」

『……ヒナタ』

「遅くなっちゃったけど、でもきっと成功する。オレは勝つよ」

『……ひなた……』

「アオイも、オレのこと信じて。絶対に上手くいく。オレがついてる」

『……。ひな、たっ……』

「助けよう? みんなであいつを。……助けるよ。みんなでアオイを」

『……! ……っ。ひなた……』

「助けるよ。たとえ、何があろうと。オレが、……助けてみせる」

『……いなく。なんないでね』

「……!」

『あぶないこと。……しないで』

「……アオイ……」


 その言葉は、彼女が眠りに落ちる前と同じもの。
 それにオレは心の中で……――うん。もちろんだよと、小さく返す。


「大丈夫。危ないことはこいつらにやらせるから」

『「「「「え」」」」』


 ――――オレはもう、決めたんだ。


「(あいつがそれで助かるなら。あいつが消えないで済むなら。……オレは、何でもするよ。どんなことでも。たとえ、……オレ自身がどうなろうと)」


 手をグッと握り締めた。


『……じょ、冗談だよね……?』

「「「「(なんで今ガッツポーズしたの……)」」」」


 なんか、変な風に取られてしまったみたいだけど。



「……アオイ。覚悟、できた?」

『……ふふっ。うん、ヒナタ。なるよ、わたし』