すべてはあの花のために❾


 続いて、ひょっこりとカオルがスマホに近づいてくる。


「体育祭ではすみませんでしたあ~」

『許さない』

「え……」

『ヒナタ。代わりに殴っておいて』

「うん。あとでバット持ってくる」

「ええ~。そんなあ。酷いじゃないですかあー」

「「「お前がな」」」

『え。……い、いま……』

「うん。まあ先にカオルからね」

「こほん。……あなたには、たとえ家の指示とはいえ、自分の身が、守りたい人の身が危なかったからとはいえ、最低だったなと思ってますぅ」

『あなたも人質が……。……わたしも、その。……巻き込んでしまって、ごめんなさい』

「いいえ。ぼくの家は初めから家側ですから。……ぼくはただ、大切な人のためにこちらについているんです」

『……大切な、人……』

「まあ文化祭は、我が儘で大切なお友だちのお願いを叶えるために、ってことでもあったんですけどねえ?」

『え』

「でも、もうぼくはあなたを傷つけることはしません。コズエさんと一緒に守りつつ助けますよお~」

『そ、そうですか……』