続いて、ひょっこりとカオルがスマホに近づいてくる。
「体育祭ではすみませんでしたあ~」
『許さない』
「え……」
『ヒナタ。代わりに殴っておいて』
「うん。あとでバット持ってくる」
「ええ~。そんなあ。酷いじゃないですかあー」
「「「お前がな」」」
『え。……い、いま……』
「うん。まあ先にカオルからね」
「こほん。……あなたには、たとえ家の指示とはいえ、自分の身が、守りたい人の身が危なかったからとはいえ、最低だったなと思ってますぅ」
『あなたも人質が……。……わたしも、その。……巻き込んでしまって、ごめんなさい』
「いいえ。ぼくの家は初めから家側ですから。……ぼくはただ、大切な人のためにこちらについているんです」
『……大切な、人……』
「まあ文化祭は、我が儘で大切なお友だちのお願いを叶えるために、ってことでもあったんですけどねえ?」
『え』
「でも、もうぼくはあなたを傷つけることはしません。コズエさんと一緒に守りつつ助けますよお~」
『そ、そうですか……』



