『……。ひなた』
「ん？」
『……。ちゃんと。話す……』
「……アオイ……」
『コズエ先生に。……アメを。……お母様を傷つけてしまったことを。謝りたいっ』
「（あおいちゃん……）」
『ネコ男は。……謝って欲しい』
「はは。そうだね。……そういえばそうだった」
「（あはは～）」
『でも。……彼を巻き込んだことも。謝りたいの』
「（ぼくの場合、家は元から道明寺側ですから。ただぼく個人として、アイさんについてるだけなんですが……）」
『……銀髪……』
「（あ。あなたはそう呼ぶんですね……）」
『彼の家も。……わたしが壊してしまった。から……』
「（おんぶにだっこだった、月雪がいけないんです。あなたが悪いわけ、ないじゃないですか）」
『でも、会ったら一発殴るかもしれない』
「（……え……）」
「ダメ。大事なナイトなんだから（絶対後夜祭の仕返しじゃん。でもレンじゃないし。こいつ弱いからマジでダメだって）」
『……。アイ……』
「（……あおい、さんと。呼ぶべきかどうなのか……）」
『アイにも。……悪いこと、した。……わたしが。彼の両親に。『ちゃんと話をしてあげて』なんて言わなかったら……』
「（……そっか。あなたの方が、言ってくれたんですね）」
『……嫌われても。しょうがないのに……』
「（嫌われてしまうのはきっと俺です。だって、仲が良かったルニのお姉さんを。……あんな目に遭わせてしまったのだから）」
『……でも、やっぱり一発殴る』
「（え？ あ、あおいさん……？）」
「うん。それでいいと思うよ。オレも参加する」
「（え。ちょ、ちょっと。なんでグーパンチを向けてくるの……！）」
『……。ちゃんと。言う、んだ』
「……うん。そうだね」
『ちゃ。ちゃんと、言って。……ごめんなさいって。……する』
「別に、謝らなくてもいいと思うよ？」
『でも。……わたしが関係してないことじゃ、ないから……』
「……そっか」
それじゃあ、それでアオイの気が済むのなら、いくらでも言ったらいい。
『……。ちゃんと。許して、もらえたら……』
「……うん」
『……。わたし。キング、なるよ……？』
「……ん」
『たとえもし、守る駒がなくなったとしても』
「…………」
『ちゃんと。……信じてる。信じてるよ。ヒナタ！』
「アオイ……」
『きっと、ヒナタならなんとかしてくれるんだろうって。たとえ最後のひと駒になったとしても！ わたしは絶対チェックメイトするよ……！』
「……そっか」
信じてくれた。アオイは、信じて待っていてくれる。
「（……だったらオレができることは……）」
そんなのもう、させてあげるつもりで電話を掛けたんだ。
オレは、みんなに目で合図をした。
「……だったらちゃんと、許してもらって？」
『え？ それってどういう……』
オレは彼らに、話すように促した。
