そしてオレは、抑えきれない緩みまくった顔で一本、指を立てる。


「まずは【KING(キング)】。これはもちろん、アオイのことだ」

『え? わ、わたし……?』

「そうだよ? だってアオイも取られてしまったら、もうお終いだもん。ゲームオーバーになる」

『うぅ……。責任重大……』

「大丈夫。動かすのはオレだから。アオイはただ、オレを信じてくれてたらいい」

『……うん。ありがとう!』


 嬉しそうな声が聞こえた。どうやら、さっきよりは元気になったようだ。


「(にしても、一体何が……)」


 まあ先に報告だと、また指を一本立てる。


「次は【QUEEN(クイーン)】。これは雨宮先生だ」

「(私……!?)」

『コズエ先生かあ!』

「(あおいちゃん。下の名前で呼んでくれるのね……)」

「(え。なんか先生泣いてるんだけど。クイーン嫌なのかな)」

『どうして先生なの?』

「ん? だって、【公安(クイーン)】が取られたらあとがヤバいから」

『ああ。なるほど……』

「あいつも、コズエ先生って呼んでるの? アオイだけ?」

『ううん? 心の中でコズエって言って、先生って口に出してる』

「(素直に言ってくれていいのに……)」

「じゃあオレもそう呼ぼっと。コズエ先生って」

「(使う気満々な感じが表情から滲み出てるわ……)」

『おお! きっと先生嬉しいよ!』

「そっか。それはよかった(にや)」

「(怖いから……っ)」


 それから、三本目の指を立てる。


「それから、【ROOK(ルーク)】。これはカオル。まあこのルークは、クイーンと一緒にしておかないと動かない動かない」

「(ぼくが、ルークですかあ……)」

『え? か、カオルって……』

「あれ? 言ってなかったっけ?」

『聞いてない……!』

「アオイ。あいつは……ううん、あいつと今から言う奴らは、駒であると同時に助けてやらないといけない奴らでもあるんだ」

『助け? え。それって。まさか……』


 続いてオレは、四本目、五本目の指を立てる。


「【BISHOP(ビショップ)】はアイ。【KNIGHT(ナイト)】はレン」

『――……!!』

「(ナイト……)」

「(ビショップ、か……)」