それからオレたちは、強制的に家のためになることをさせられてきた。毎日が、生きてる心地なんてしなかった。嫌気が差していた。毎日が金、金と飛び交う世界から飛び出したかったはずなのに。もう、足枷を着けられて。……逃げ出すことなんて、不可能だったんだ。
桜への編入試験は死ぬかと思ったけど、なんとかクリアして潜り込むことに成功した。今は、彼女の時間をどうやって削るかを、三人で話し合ってた。
と言っても、本当はそんなことはしたくなかったから、家に背かない程度に。彼女の時間も削らないギリギリの方法を、考えていた。……でも、そんなことさえするのが嫌だった。つらかった。
もうこんなことをしている自分が嫌になって、話し合いだってサボることもしばしば。それに二人は、きっとそんなことをしてたって知って幻滅したはずだ。現に少し、オレを見る目が変わった気がしたから。
……だからもう、一人で何も考えずにいられる時間でしか、ちゃんと息ができなかったんだ。
それからある日、また呼び出しがあった。どうやら、子どものオレらに大人が一人加わるらしい。
『初めまして。雨宮梢といいます』
とても綺麗な人だったが、どうしたのだろうか。体のあちこちに痛々しい傷跡が目立っていた。
でも、どうやらこの人も彼女の犠牲者だという。そこに付け込んで、家に吸収したそうだ。
『よろしくね?』
『はあい! よろしくお願いしますう~』
どうやらカオルにはドストライクみたいだったけど。
『(でも。違うんだ……)』
彼女は好きでそんなことをしているわけじゃない。きっとこの人は、オレらの監視なんだろう。ちゃんとオレらが、仕事をするかどうかの。
だからオレは、この人がいる話し合いなんてしたくなくて、彼女にはそれ以来会ったりなんてしなかった。
それからいろいろ考えたけど、いい案が浮かぶはずもなく。ただただ月日が流れてしまい、ついにオレらに警告が来てしまった。
『どうしよう……』
『このままでは……』
『……っ』
最終的にオレらが出したのは、西の藤ヶ丘を使うこと。彼女を遠くから責めることで、桜を少し突こうということになった。それを開始するのは、彼女が学校に通い始める高校から。
誰にもバレることがないよう、厳重に指示を出して治安を少し悪くしたが、……そんなの気休め。彼女の時間なんか削りたくはないが、オレらは家に背く気がないという意思表示なだけだ。
『あ~だっる。今日も北西の見回りかよ』
『しょうがないじゃん。オレらもなんだかんだで手伝ってもらってるんだから、あっちも手伝ってあげないと』
『(こくこく)!』
オレが中3に、アイさんとカオルが高1になった時、あの三人が生徒会の仕事をしていた。
偶然なのか、必然なのか。彼女の犠牲者たちは仲の良い友達同士で、学年が違えど、協力してお互いの生徒会の仕事を手伝っているらしい。
本音を言えば、そんなことして欲しくなかった。いつ、オレらの存在がバレてしまうか。バレたらもう、オレらが守ってる人たちだって危うかったから、ヒヤヒヤしてた。
でも、存在がバレることはなく。オレはとうとう、高校に上がってしまった。



