それから、着々とクリスマスパーティーの準備は進んでいった。


「それじゃあまた明日ね!」

「おう!」

「お疲れ」


 あいつは、自分の作業が終わったら必ずみんなに声を掛けてから帰っていた。


「(また明日、か……)」


 そう言ってくれてるだけで、もう十分嬉しかった。


「あいつさ、やっぱり生徒会室以外だったらオレらの前でも変な顔してんだよな」


 宣言通り、生徒会室ではその仮面を外してくれていたけど、それ以外で見かけた時は、たとえキサたちと話していても仮面は着いたままだった。


「そうだね」

「……なんか、苦しそうだよな」

「うん。オレもそう思う」


 やっぱり、素でいられるところが増えると楽なんだろうけど、わざわざあいつが仮面を着けてる理由は、何となくわかる。


「(でも、なんでそれを強化したんだろ……)」


 それはもう、完璧に。それが不思議でならない。


「……早く、一緒に帰れるようになるといいよな!」

「下心丸出し」

「まあ本当のことだからな。しょうがない」


 こいつも変わった。もう、気持ちが悪いくらい。


「え。酷い……」

「一緒に帰れるだけじゃダメだよ」

「え?」

「(あれを、外してやらないと……)」


 じゃないとあいつは、苦しいままだ。まあ、最終的には助けてやることだけど。


「……そうだな。なんとかしてやらないとダメだよな」


 きっと、運命のことを言っているんだろう。でも、そんな単純な問題じゃないんだよ。


「(早くみんな。あいつのこと知ってあげて……)」


 チカと一緒にクリスマスパーティーの準備をしながら、……そう思った。