すべてはあの花のために❽


「……ぐずん。もう。いわないからね……? ごめんね……」

「(……えがおって)」


 どうやって、作ってたっけ。どうやって、ハナの前で笑ってたっけ。……あれ。
 どうやってハナに声掛けたらいいんだっけ。どうやって。ハナのいるところまで行けばいいんだっけ。


「(……オレにはもう。ハナを笑わせてあげることなんてできない……)」


 心が罪悪感で。罪で汚れきって。


「(……もう。ハナのそばになんか。いられない……)」


 こんなオレのそばにいたら。ハナまで汚れてしまう……。


「(……オレはっ。ハナを幸せになんて……)」


 ただ、君の綺麗な花びらを。汚してしまうだけだ。


「……もう、るにちゃんみたいな子を、わたしは絶対に作らない」

「………………」


 もうオレは。ハナに近寄らない方がいい。ハナのために。…………いいや、違うか。


「(オレの。ためだ……っ)」


 何でもかんでも、結局は自分のためじゃないか。
 母さんのことだって、自分のことを責めて欲しくて。罪悪感から逃れたくて。寂しくて。一緒に罪を背負って……。


「(……こんなオレ、知ったら絶対……)」


 ハナの中から、自分のことも消されてしまうのではないかと思った。
 いや、もう消されると思った。それを恐れたんだ、オレは。


「ルニちゃんみたいにっ、わたしのせいで傷ついちゃう子を作らない!」

「(はなっ……)」


 ハナのせいで傷つく人なんて。いるわけないじゃん。


「わたしが、守る! ルニちゃんのこと、守れなかった分まで!! たくさんの人! 守るから!!」

「(……強いね。ハナは……)」


 オレなんて。助けようと思ったって、行き詰まって。息も詰まって……。


「(……はは。結局、オレが守ってるのなんてオレ自身だけじゃん)」


 結局は自分の保守しかしてない。自分だけ守って。


「(はあ。……ほんとサイテー)」


 頭を抱えて、蹲ることしか。今のオレには、できない。


「それじゃあね! またねは、もう言わない。言って、会えなかったら怖いもん! それに。もうわたしの時間は少ないから……」

「……!!」


 そうだよ。オレなんかより、怖いのはハナの方じゃんか。


「(……絶対助ける。それだけは、絶対に)」


 ハナに近づかなくても。絶対に、君の名をオレが探してみせる。


「(たとえハナに嫌われたって、君が救えるのなら、オレは……)」


 どんな罪だって、背負ってやろう。
 もう。オレの汚れなんて綺麗にならないから……。


「だから。……さようなら! ルニちゃん!」

「(……そうだね。ルニにはもう、さよならだ)」