すべてはあの花のために❽


「……治安維持?」

「そうなんだよー。なんかね? 高校の生徒会にはその仕事も入るんだってー」


 ツバサたちは高1に、オレたちは中3になった時、どうやらあいつらはまた高校でも生徒会に選ばれたらしい。


「それで、あたしたちと一緒に美化活動しようよ!」

「は?」


 治安維持と言ってもその程度のものだったらしいけど。


「いや、なんでオレらまでしないといけないんだよ」

「(こくこく)」

「オレらこっちの仕事もあるんだけど」

「どうせ来年はアンタたちもまたこっちで生徒会やるんだから、練習だと思いなさい」

「ていうのはつばさクンの照れ隠しで、みんなでやっぱりいたいんだ~」

「小、中の時も思ったが、やっぱりこの一年が一番寂しいからな」

「ということで、そっちの手伝いもするからさー、こっちも一緒にやってーってこと」


 そんなこんなで始まった、治安維持という名の美化活動。でもそれは、最初だけの話だ。


「え。……北西の治安が悪い?」


 それは、現にその地域が迷惑しているほど。


「どうやら原因は、西の藤が原因みたいだけどな」

「そこの生徒たちが暴れてるっていう目撃情報は聞くんだけど、警察が着いた時にはもぬけの殻らしいよー」

「暴れてるのを見て通報してるんだから、そうなるわよね……」

「そうそう! だからあたしたちで原因究明アンド根本からやっつけちゃおー! ってことなの」

「いやいや、そんな簡単に言うけどさ……」

「でも、もう先生みたいな人は出したくねえ」

「ちかクン……」

「(ちーちゃん……)」

「そうだねー。チカちゃんの言うとおりだ」


 あのことはまだ、カナには言っていない。カナ自身が向き合わない限り、父親や組の奴らに向き合わない限り、何度やっても同じだからだ。