すべてはあの花のために❽


「さてさてー。他に何を隠してるのー?」


 あの気になった折り目。早速ブックカバーを取り外す。


「……大事にしなきゃって思ってたけど、もっと早くに外して分解でもすればよかったかな……」


 そのブックカバーの裏面に何か書いてあるけど、これもよく見えない。


「え? 何? わかって欲しいんならさ、もっとハッキリ書けよ」


 なんか、だんだんイライラしてきた。


「……なんだろう。あぶり出しか、……紫外線?」


 ブラックライトなんてものはないから、……試しに明日買ってこよう。


「あ。でもあれか。濡らして色が変わったから……」


 表紙は色が変わったし、『p』は浮き出てきたんだった。


「……試しに濡らしてみよう」


 そしたらまさかのビンゴ。よかった。ブラックライト代が浮いた。


「……はあ?」


 でも浮き出た文字を見て、思わずカバーを投げ捨てた。



【こっこまっでおっいで~】


 書いてあったのは、電車で約二時間くらいの場所だった。


「……ハナあ?」


 何。引っ越したの?
 そうならそうって言えよバカ。


「いや待て。……助けてってことは、連れ去られた?」


 まさか犯人は、この絵本を書いた奴……?


「ハイ許さないー。絶対にぶっ飛ばす決定ー」


 にしても、ブックカバーを外した本体も気になる。


「……なんでこんなに分厚いの?」


 しかもこの二つ折りした内側、怪しい。


「……これで当てが外れてたらどうしよ……」


 当たっててお願い……! と祈りながら、パリッとその折られた場所を開いていった。



「え。……な、に。これ……」


 そこには、表の話とは別に、たくさんの文章が書かれていた。