すべてはあの花のために❽


 それからチカが落ち着いた頃、またみんなで遊ぶようになった。


「……今日も来ない、か……」


 チカの件があって少しの間行けなかったけど、ほんとに数日だし。きっと来てないだろうから、またあそこで待っていた。

 夕方。太陽が向こうの海へと沈んでいくのが見える。


「……次。いつ会えるかな……」


 会いたかった。今すぐに。


「あー。……心臓うるさ」


 怖かった。オレのことを話すのが。


「……手震えるし。なんなのもう……」


 緊張した。勇気がなくて。
 それでも毎日ここへ来られたのは、ハルナが背中を押してくれたから。


『ちゃんと言うまで貸しておいてあげるから!』


 そう言って、オレに勇気を少しくれた。
 ……信じてる。ハナがオレのこと、信じてくれたみたいに。こんなことでオレのこと、嫌いになったりしないって。


「………………沈んだ」


 流石に今からもう暗くなる。冬は日が出てる時間が短いから、一緒にいられる時間も短い。


「……また明日。来るから」


 だからハナ。来たら話をさせて欲しい。
 ……そう言って、黄昏時。オレはそこから離れて、家へと帰っていった。