すべてはあの花のために❽


「(……あー。どうしよう……)」


 でも、気づいてしまった。


「(今日は。……なんとか頑張った。けど……)」


 これからずっと、あんな気持ちを必死で隠していかないといけないのか……。



「…………………………ムリ!」


 無理だ。無理無理!
 だってハナがかわいすぎる。オレのせいじゃないし。


「……むり。なんだって……」


 ハルナじゃないんだ。
 オレが。ハナが好きなんだから。


「はあー……。……ゆうき。か……」


 実際のところ、もう少し時間があるだろうと思ってた。


「……っ。ゆうき。かあ……」


 ハナのことを考えるだけで溢れ出るこの気持ちと、なけなしの勇気。


「…………ああもうっ! 次どんな顔して会えばいいのっ!」


 完全にパニックだった。こんなの、誰もわかってくれな――……あ。

 いるじゃん、一人。


「……いや。わかってくれない方がおれ的には嬉しい」


 恥ずかしい。……恥ずかしすぎる。
 でも、今助けてもらえそうなのは……。


「………………はるな」


 いつも助けてくれる双子の姉に、今ほど助けて欲しいと思ったことなんてない。


「……。まじ。たすけて……」

「え。ど、どしたんだ」


 オレはハルナの部屋に行くなり、頭を抱えて小さくなった。