すべてはあの花のために❽


 ……少し、ハナが落ち着いた頃。


「(……気になる)」


 また、さっきのことを思い出してしまった。


「……ハナちゃんさー」

「……。ん……? なあに……?」


 しょうがないじゃん。気になるんだから。
 頭を撫でながら、小さな声で聞いてみることにした。


「ちゅーはじめてだった?」

「……!?!?」


 かあああ……と。顔を真っ赤にするハナが。


「(……なにこの反応。かわいい……)」


 こっちが赤くなってしまうくらい。かわいかった。


「……はっ。はじ、めてで。……でもっ。口と口はっ。……特別な人じゃ、ないとっ。ダメって。聞いて……」


 そっか。はじめてか。……ちょっとほっとした。

 ……でも。


「あたしは?」

「……??」

「特別じゃ、ないの……?」

「え? ええ……? る、るにちゃん……??」


 少なくとも、何度も会ってくれるし。大切な絵本を、渡してくれたんだ。


「(……ハナの。特別になりたい)」


 オレの中では、もうハナは特別だ。
 ハナの中でもオレを、……特別にして欲しい。

 そう思ったら、体が勝手にハナに近づいていく。


「あたし、ハナちゃん好きだよ? 特別。ハナちゃんもでしょ?」

「で、でもっ。女の子、同士……」


 女じゃないし。
 でも、……言えなかった。男だってバレたら余計、このことを気にしてもう会ってくれないかもしれないし。


「……ハナちゃん、知らないの? れずって」

「え? ……なにそれ」


 ここでまさか、ハルナに教えてもらった知識が生かされるとは。
 でももう体が……動く。


「女の子同士が、こういうことするの。……んっ」

「……!!」


 ほっぺにキスをしたら、また真っ赤になった。


「真っ赤だ。……かわいいハナちゃん」

「る、るにちゃん……」


 目がめちゃくちゃ泳いでる。
 そんなのももう、かわいすぎて。こっちがどうにかなりそうだった。