すべてはあの花のために❽


「あたしの大切なハナちゃんが、悪魔の子なんか絶対ない」


 オレの大好きなハナが、悪魔の子とか絶対にない。

 オレがそう言うと「え……?」と、ハナが目を見開く。
 変なことなんか言ってない。オレの、正直な気持ちだ。


「さっきハナちゃん言ってくれた」

「……っ、え……?」

「あたしも同じ」

「……。えっと。なにが……?」

「……あたしも、ハナちゃんが好き」

「……!」

「大切。大事。……ううん。そんな言葉じゃ表せられないなあ。なんだろ……」


 なんて言ったら伝わるだろう。ハナが、どれだけオレにとって大切な存在か。


「……じゅうぶんだっ」

「え?」


 どう伝えたらいいか悩んでいたら、ハナが涙を流していた。


「な、なんで泣いてるの……?」

「……。うれし、なき……」


 ハナは目元を拭いているけど、何度やってもその綺麗な涙は止まらなかった。


「あーあ。止まんないね。……そんなに嬉しかった?」

「……うんっ。わたし、にはっ。そう。言ってくれる人はもう。いなかったっ。から……」

「(……お家、お金持ちだもんな。大変なのかな……)」


 窮屈な思いをしているのかもしれない。言ってくれたら、……何もできないかもしれないけど、何かはしてあげられるかもしれないのに。
 もう少し、まだ信じてもらう必要があるんだなとそう思っていると、ハナが泣きながら「ありがと。るにちゃん。……ありがと……」と、何度もお礼を言ってくる。


「いいえ?」


 オレも、いつかお礼を言いたい。
 オレの世界に、色をつけてくれた。ハナの色に染めてくれたことを。

 そうしてハナが泣き止むまでずっと頭を撫でてやった。