すべてはあの花のために❽


 でも、女の子はずっと。ただただ、涙を流していた。


「(う~ん。どう、しよう……)」


 何をしたら、気が紛れるだろう。何をしたら、喜んでくれるだろう。
 かくれんぼの途中だ。何も持って来てない。あるのは、咲いている花だけで……。


「(……女の子、お花すきだよね……)」


 そう思って、彼女が落ち着くまで、取り敢えず白詰草の冠でも作ってみようと思った。


「(……うまく、できる、かな……)」


 喜んで、くれるだろうか。涙も、止まるといいな。
 そんなことを思いながら、冠を編んでいった。


「……どうして。なにもきかないでいてくれるのっ……?」


 女の子が、オレにそう聞いてくる。……うん。やっぱり綺麗な声。


「あ。やっと『え』以外の声が聞けた」

「……え?」

「声。……ちゃんと聞いたのはじめて。きれいな声」


 すっと。捻くれている自分でも、こんな正直に言葉が出てくる。
 そう言うと女の子は、どこか慌てていて。……それがとてもかわいかった。


「(……でも、言ってくれそうにない……)」


 そうだよね。一人でいっつもここに来て、泣いてるんだもんね。


「言いたくないんでしょ?」

「え……?」


 あ。また「え」だ。
 ……もっと、聞きたい。


「『え』以外にもしゃべってよ」

「ご、ごめんっ……」

「(あ。別にあやまってほしかったわけじゃ……)」


 どうしようと思ったら、手には出来立てほやほやの冠があった。
 オレは、その冠をそっと女の子の頭に乗せた。


「うん。うまくできた。なかなかのでき」

「……?」

「(……ほんと。お花の、おひめさまみたいだ……)」


 そう思っていたら、女の子が冠を取ろうとする。


「取っちゃダメ」

「えー……」

「(だって。……とってもにあってる)」


 残念そうに言う彼女は、どこか頬が緩んでる気がした。


「(……また、勇気……)」


 だって、止めてあげたいんだ。まだ、彼女の目には涙がたくさん溜まってる。


「だって、言えないんでしょ?」

「え?」

「(また『え』……)」


 なんて声をかけてあげようかと思っていると、「……うん。言え、ないんだっ」と。そう苦しそうに、彼女が言ってくるから……。


「(……たすけて。あげたい)」