すべてはあの花のために❽


 そう言うと、ハルナはせっせとスカートやワンピースを片付けてくれた。


「さあ! どうする!? 弟よ!!」

「(いや、もはやそれ言いたいだけでしょ……)」


 ハルナが出してくれたのは、短パンとか。あとは女物のシャツとかブラウス。


「(……まあ、ちょっとおとなしめっぽいか……)」


 きっと、自分の性格を考慮して出してくれたんだろう。やっぱりそれも、ハルナが滅多に着ないようなものばかりだ。
 流石、よくわかってると言いたいけど。……なりきるなら、自分の性格じゃあダメだから……。


「……下はこれ。短パン借りる」

「ほい!」

「上は、ふつうにパーカーでいいよ」

「ええ?! なんで!? バレるかもだよ!?」

「いや、こんな恰好してみんなになんて言えばいいの……」

「あ。それもそうか」

「だから、女物って感じがわかればいいよ。いっつもはるなが着てるようなかっこうで、おれはいい」

「……そっか。うん! りょうかーい」


 そうして、ハルナが何着か貸してくれたけど……。


「え? ほ、ほとんどじゃん……」

「うん! だってその子、いつ来るかわからないでしょ?」


 いや、そうだけどさ……。


「はるなは服どうするの。さすがに裸だと、けいさつにつかまるよ」

「え? ひなから借りるからいいよ~」


 え? 今。なんて……?


「お、おれの着るの? なんで」

「え? みんなにさ、今入れ代わりっこしてるんだーとか言ったら、ひながそんなかっこうしてても、みんな笑わないよ?」

「……なんで」

「え? ひながあたしになりきるなら、あたしがひなになりきってみよっかな~って思っただけだよ?」


 わかってる。ちゃんと、わかるよ。オレのためを思って、そうしてくれること。……ほんと、ハルナが姉でよかったよ。


「よし! デートのおさそいはいつ行くんだ!?」

「デートじゃないから」


 男勝りで、よく気がついて。元気で明るくて、どこか抜けてて、大雑把で。
 でも、誰よりもオレのことに気づいてくれる。やさしくてあったかいのが、ハルナだった。