すべてはあの花のために❽


「(……怖がって損した)」


 なんでかって? オレみたいな恰好の奴がいっぱいいたからだよ。
 まあこの文化祭は『願い』をテーマにしたものだ。今だからできる、許されることを、それぞれが最後のこの衣装に込めている。


「(そう考えたら、オレも一緒か)」


 ただハナの気持ちを。考えを。今何を思っているのかを、聞きたいがために。


「(とんだピエロかも。何も知らない奴にとってはオレが)」


 でもそれでいい。オレは、ハナのために今を生きてるんだから。


「(ただ一人。オレの世界に色をつけてくれたハナのために……)」


 そうこうしていると、ハナを見つけた。


「(絶対あれじゃん)」


 オレみたいな奴が結構いるから、あんなところで壁の花になってたら余計目立つし……。


「(……はあ。何があったんだよ)」


 誰にも見つかりたくないって雰囲気がダダ漏れ。キサと、どんな話をしたんだか。


「(……ハルナ、借りるよ。レン、……先に謝っとこう。勝手に借りますありがとう。あ、間違えた。ゴメンネー)」


 心でそう呟いてから、ハナのいる場所へそっと歩み寄る。


「お一人ですか?」


 今からオレは、ハルナから勇気を。レンから姿と声を、借りるよ。