「きっと日向、驚くよ」
「ん?」
「あっちゃんのドレスを見て、本当にお姫様なんじゃないかって」
「……ふーん」
「でも、あたしは日向のやってることが、あっちゃんのためになるとは思えない」
「ま、拗れてるしね」
「たとえ拗れてたとしても、どうして好きな相手に自分じゃない誰かを好きにさせようとしているのかがわからない」
「ま、捻くれてるしね」
「言ったじゃん。勝手に日向があっちゃんの幸せを決めたらダメだって。あっちゃんが、本当に幸せになれる道が日向だったらどうするの? 日向もあっちゃんと幸せになりたいでしょ? なのに、なんで自分からそうやって切り離そうとするの」
「もしそうだとしても、オレにとっての幸せは、あいつが幸せになることだよ。オレにはオレのやり方があるから」
キサは、再び大きなため息を落としました。『どうにかしてよ陽菜。こいつ超ぶきっちょなんだけど』と空を仰ぎながら。
まあそんな会話をしたあと、そのなりきりセットの話で盛り上がって、二人で笑い合った。
「それじゃあまた、後夜祭の時に手伝ってあげるから」
「どーもありがとー姉貴」
「うげ。嫌だ嫌だこんな弟。よくやったよ陽菜も」
「うん。ほんと、そう思う」
「日向……」
「だから期待してるよ。姉貴代理さん?」
「……はあ。わかってる。それじゃあね、不器用な弟よ」
「(……よし。これでまた駒確保)」
それからオレは反対のステージ側で、みんなと一緒にあいつの登場を待った。



