すべてはあの花のために❽


 心の中でそう突っ込むとハルナがやさしく笑う。


「ね? これなら、ひねくれてるひなにはうってつけ」

「失礼だね」

「あとはきっと、その子にあったら勝手に言葉とか出てくるよ」

「え?」

「あと、勝手に体も動くかもね。きっとそう」

「な、なんで……?」

「ん? ……勘!」

「(さすが……)」

「でもねー。やっぱり何となくわかっちゃうんだよ、ひなのこと」

「……ぷらいばしーのしんがい」

「はは! しょうがないよね! 双子だもんね!」

「……できる、かな……」

「ひな……」

「自信、ない。……はるなみたいにおれ、明るいわけでもないし。勇気もない。その子のそばに、……行くこともできないと思う」


 落ち込む。なんで自分はこんなんなんだと。
 今までは全然よかった。それで。変われた。十分すぎるくらい。……でも、ダメなんだ。オレじゃ。
 オレじゃあ、……そこにすら、行けない。……っ、くそ。自分に腹が立つ。悔しいっ。


「それじゃああたしになればいいよ!」

「……はい?」


 え。何言ってるの、あなた。


「だってひなは、自分だったらできないって思ってるんでしょ?」

「……そう、だね……?」

「だったらあたしになればいいじゃん。ばんじかいけつ!」

「え? ふかのうだよね。……なに? あたまとか思い切りぶつけあったら変われるの? すごいねー、ぶっとんでるねー」

「いやいや! ひなた! あたまつかんでこないで!?」

「……じゃあどうしろっていうのさ」

「いや、あたしになりきればいいじゃん! って話だよ」

「え?」

「さすがにチェンジってわけにもいかないし、あたしがひなの代わりに行ったってしょうがないでしょう?」

「あ。行ってくれる? そしたらきっと泣き止む」

「それでいいの? ひな」

「え」


 急にハルナが真面目な顔になる。


「たしかに泣くのは止まるかもね。声だって聞こえるかもね。笑ってくれるかもね。でも、自分がしてあげたいって、そう思ったんでしょ? ひながあの子に気づいてあげたんだ。それでその子をなんとかしたいって、思ってるんでしょ?」

「…………」

「人の手を借りることも大切だけど、まるごと借りたらまたひなは変われないままだ」

「…………」

「どうする? あたしは行ってあげてもいいよ? あんたのかわりに、あたしがあの子のことを知りに行くよ? それでいいの? 自分に腹立ったままで、悔しいままで、いいの?」

「え……?」


 やっぱり、ハルナにはわかってしまうみたいだ。


「……涙、止められるかな」

「うん。だいじょうぶ」

「声、……聞けるかな」

「その前に話を聞いてあげようね」

「わらって、……くれる、かな……」

「……だいじょうぶだよ。きっと、ひなしかできない」