すべてはあの花のために❽


『それでは早速センスの審査に移りましょう! エントリーNo.1の方はステージの真ん中へいらしてください!』


 文化祭二日目。ハナとは違うグループで午前中は見てやれなかったけど、昨日のことがあってチカが反省してるから、今日はあいつがしっかり見てくれると思う。
 にしても、門のところでチラシを配るのに、すごい人だかりができて正直酔った。気持ち悪……っ。終いには、ハナたちと交代したあともそいつらがついてきたから、逃げるようにオレらはお化け屋敷に入っていったんだけど……。


「(……おえ。きもちわる。…………うっぷ)」


 正直言って、オレら全員こういうの苦手だったのに、正常な判断ができずにみんな撃沈。オレはさっきのこともあってトイレに駆け込んだ。
 でもいつの間にか付いてきた奴らもいなくなってたし、よかったっちゃよかったのかな。

 そんなこんなで午前は無事に終わり、今はアカネとオウリとチカに仕事を任せて、オレらはコンテストに出ていた。


「葵」


 オレとツバサとアキくんは、ハナと同じステージ裏側で待機をしてたんだけど。


「可愛い」

「――!? さ、左様でございますか……」


 アキくんみたいにストレートに言える人ってなかなかいないよね。
 ……え、いるのかな。オレが捻くれすぎ? 拗れすぎ? いやいや、アキくんは異常だと思うよ、ハッキリ言って。


「今日このままデートに行こう」

「ぅえっ!?」

「ダメか?」


 的ないい感じの雰囲気が流れてたから、ツバサと一瞬目を合わせて。


「「ストーップ!」」


 大慌てで止めた。『流石兄弟。息ピッタリだね』って言いたい気持ちはわかるけど、オレ的には今のこいつと息ピッタリって言われてもちょっと複雑。


「ねえ、なんでこんなにレベル高いのよ……」

「マジ意味わかんないんだけど。オレ帰りたい」


 桜の中でも結構レベルの高い人たちが出ていたし、恐らく一般の人もいい顔の人をかき集めてきたって感じだった。ま、レンは出てないみたいだったけど。


「これじゃあアタシが優勝するのもちょっと厳しいじゃないのよ」

「それだけはやめた方がいいと思うよ」

「参加者全員が泣く」

「確かに」


 ま、ツバサをミスの方で参加させた3-Sも変わってるよね。
 でもツバサが優勝を狙ってる理由は、ハナの唇なんか奪わせてたまるかってところだろうけど。


「(それにしても不安……)」


 それはみんなも思っているのか、腰元にそっと手をやっていた。


「(邪魔になるかもしれないからって、無線は取られたけど……)」


 今日は、本当に何があるかわからない。それにオウリとアカネとチカに向こうの仕事を任せっぱなしだ。そっちも気になる。それでもどこか、ハナの顔が不安だけじゃない気がして不思議だったけど。