すべてはあの花のために❽


 ハナを無事に生徒会室まで送ってツバサに引き渡したあと。


「ねえオウリ。あいつに何て言ったの?」


 オウリに尋ねても、口の前に人差し指を立ててにっこり笑うだけで、やっぱり教えてくれなかったので。


「え。お前ら帰ってき――ぐはっ!」


 チカにこの苛々をぶつけることにした。


「ちょっ、は? え? どしたんヒナタ」

〈さあ~?〉

「いや絶対知ってるだろオウリ」

「♪~」

「チカ、食い縛って」

「は――、ぐへっ!」

「(ひーくんイライラしてる~)」


 一回だけだと思う?
 いやいや、しばらく当たってたからチカに。


「……なあ。どうしたんマジで」

「オウリがあいつとなんか話したのに、教えてくんない」

「ー♪」

「……なんだよ。超ご機嫌じゃん」

「多分だけど、あいつと話した内容よりオレが苛ついてることに関していい気味って思ってる」

「は? オウリがそんなこと思うわけ」

〈すごーい! 大正解!〉

「ね。言ったでしょ」

「オウリっ……」


 それからしばらくして、オレの番になるからと生徒会室に向かった。
 生徒会室に入ると、「あ。次はヒナタくんなんだ! よろしくねー!」と早速言われた。


「……何。ツバサ、もしかして言ったの」

「言わなかったとしても、この子はすぐ気づくわよ」

「確かに」


 視線に気がつくくらいだ。しかも付き纏ってくるって。もはや何……?
 
 ハナがオレと話をするのを嫌がって、また遊びだそうとした。


「(……ダメだ。このままじゃ)」


 ハナの口から言わないと意味がない。


「(今言っておかないとダメかな……)」


 きっと、オレがあの時突き放すようなこと言ったから、オレと話すの嫌なんだろうし。(※違います。襲いかけたからです)
 でも、取り敢えずさっきオウリと何を話してたのか知りたかったから、それを教えてもらった。内容は、まあオウリがそう言ってくれて嬉しかったんだろうけど、やっぱりオレが苛ついてるのを絶対オウリは面白がってた。


「(その仮装はそういうこと……)」


 にしてもハナが選んだ童話って……。


「(若干、ハナからもらった絵本の話に似てるんだよね……)」


 あ。違った。ハナの絵本が、童話に似てるんだ。


「(ヒイノさんもヒイノさんで……)」


 その頃ヒイノがくしゃみをしていたのは、まあ誰も知らないけど。
 そうこうしていると、ハナのスマホが鳴った。相手はトーマ。しかも電話。しかもしつこい。
 しかもハナが出ようとするから、慌ててハナの腕を取る。


「今、オレと話してるんだけど」


 二人きりになることなんてないし、……言うんだから、ちゃんと。
 それでもハナはやっぱり出ようとした。


「じゃあ話していいから、ここにいて」


 行って欲しくなかったんだ。
 こういう機会、滅多にないのは本当だし。何よりも、……離れていって欲しくなかった。


「(しかも相手トーマだし。何回オレの邪魔するの)」


 でも前も思ったけど、トーマにハナは顔を赤くしてたから、ちょっと許せない。……どんな話してるのかも気になるし。
 そう思って、ぴったりハナのスマホに耳をつけて盗み聞きした。……でも聞くんじゃなかった。苛々してハナに当たっちゃったじゃん。
 しかもトーマ本気でストーカーだし。どんだけハナに電話してるのさ。


「(にしても、本当の目的ってなんだろう……)」


 きっとトーマもハナのことについて調べてるんだろうから、そのことだろうなと思ったけど。覚えてたらアオイに聞いてみよう。