すべてはあの花のために❽


 あれからハナの自業自得から監視のようなものが始まって、今日はオウリとチカとハナの四人で帰ってる。


「涎垂れてる」


 ハナと並んで歩いていると、目の前で歩くオウリとチカの姿を見て涎を垂らしそうになっていた。


「そんなにあいつら好きなの」


 そしたら即答で「うん。好きだけど?」って返ってきた。
 わかってる。恋愛感情じゃないことは十分と言っていいほど。


「ふーん」


 それでもやっぱり、面白くないんだ。しょうがないじゃん。
 吊っている腕を見て痛いのか聞いたら、なんか知らないけどオレがどっか痛いとこがあるのか聞いてきた。


「あんたの怪我がまだ痛いのかって聞いただけなんだけど」

「うん。そうなんだろうけど、なんだかわたしよりも痛そうな顔してたから……」

「……そんなの」


 ハナを守れなかったことが悔しいに決まってるじゃん。

 オウリがハナのことを『あーちゃん』って呼んでたり、キスしたって聞いただけでイライラしてきた。


「(あれ。アオイの愚痴聞くはずなのに、オレも言ってる気がする……)」


 そんなことに今頃気がついたんだけど、そんなことを思っていたらあっという間にハナの家に着いてしまった。


「今日も葵を送ってくれてありがとう」


 門のところまでシントさんがハナを迎えに来ていた。あんなことがあってから、シントさんもハナのことが心配みたいだけど……。


「(そういえばこの人も、ハナにキスした(※口以外)って言ってたっけ……)」


 だがしかし、自分の方が最低だったのでそんなことは責められるわけもない。


「こいつを、送り迎えしてやれないんですか。せめて、怪我が治るまでとか」

「それはちょっと難しいんです。すみません」


 チカの問いに、申し訳なさそうにシントさんが答えた。


「理由、教えてもらえませんか」

「申し訳ありません。言えるのは、『私にはここまでしかできない』とだけ」


 どういうことだ。ハナの専属のくせに、なんでハナに関しては『ここまで』なんだ……?


「(わけがあってシントさんはハナの執事になったけど、皇を出たのはあの記憶操作のことがあったからだ……)」

「……だからわたしは迎えを呼べないし呼ばない。シントも、道明寺が雇ってる身だから彼にも無理はさせられない。道明寺にとってわたし(、、、)は、駒同然だからね」


 そうか。ハナ専属でも、シントさんは他に家で仕事をさせられているから……。


「(ちょっと、アオイに聞いてみるか)」


 今までシントさんの話が出てきたのは、この家で信頼できる人の話をしていた時だけだ。


「……なんだってんだよ」


 ハナが去って行く背中を、みんなで見ていた。


「……そういえば、そもそもあいつはどこから編入してきたんだっけ」


 どこかの学校には行ってたみたいだけど。


「だから言葉の通り。あいつのこと全くわからないの」


 全然ハナの名前については、あれ以降全く進んでいない。


「(それにカナ、『俺は俺のやり方で』って言ってたけど……)」


 まさか遠くからつけてくるとは。心配なら一緒に帰ったらいいのにって言うオウリの意見に、ほんと賛成。