すべてはあの花のために❽


 まあそのあと何故か恋バナっぽくなったから、こっそり部屋から出た。


「(本当は、次に記憶消去と操作のターゲットにされそうだったのは、シントさんだったわけだ……)」


 アキくんのお父さんは、それのせいで壊れてしまったって言ってたから……。


「(道明寺は、次期当主のシントさんを操って皇自体を乗っ取ろうとした……)」


 のかどうかはわからないけど、そう思っていたら電話が鳴った。
 時刻は2時過ぎ。それだけで、ディスプレイを見なくても誰かなんてわかる。


「ちょっと。アキくんとキスしたってほんと」

『え。まずは、大丈夫? って聞くとこじゃない?』


 いつもの電話とは、少し音の調子が違った。


「いつもより声が遠い気がするんだけど」

『ああイヤホンしてるからね。マイクで話してる。手痛くて』

「……大丈夫?」

『うん。一番最初に聞くよね普通』

「アキくんも気になるけど、先にさっきのこと教えて」

『相手は五十嵐組の奴ら。わたしが出て少し手伝っちゃった』

「やっぱり……」

『その中に、二宮道場出身の奴がいた』

「え。でも、そいつらはオレらがお縄にしたんだけど」

『え? そうなの?』

「先生の件があるでしょ? あの時手伝ったっていうのはそのこと」

『そうか。……じゃあ、出てきたとか?』

「いや、まだ出てきてはいないと思う」

『だったら全然関係ないか……』

「多分ね。元々は悪い人たちじゃないんだよ。すごい組の人たちは組を大切にしてる。もちろんその中にカナもいるけど」

『でも今回は、体育館裏どころの話じゃないよ』

「うん。さっきチカから聞いた」

『え?』

「今生徒会男子全員集まって、アキくんの家に泊まってるの。さっきのこと話してた」

『……そっか。じゃあ知ってるんだね』

「ねえ、伝言って何? ハナ、まだなんか隠してるの?」

『あー……』

「教えなさい」

『『こんなもの通用するとでも? やるならとことんやりなさい。自分じゃ何もできないヘタレさん』的なことを、依頼主に伝えてねって。……言ってた』

「バカじゃないの……!?」

『葵に言ってよ~……』

「はあ。……多分願いのことなんだろうね」

『うん……』

「家が家だからね。だからハナも、力でわからせた方がいい的なこと思ってるんでしょ、どうせ」

『そうだね!』

「はああー……」

『でも、ツンデレを巻き込んだことを、すごく後悔してる。挑発するようなこと言って、すごい反省してるんだ』

「……こうなるって、思ってなかったんだろうね」

『うん。一人で、なんとかしたかったんだ』

「……ハナも、ちゃんとわからないと。自分だけじゃないってこと。もうハナのことを心配しない奴なんか、オレらの中にはいないってこと」

『……うん。そうだね』