すべてはあの花のために❽


 和解したあと、シャワーを浴びていた葵――――。


「…………。っ、うる。さいっ……」


【ーーー、ーうすーーんーとーーーかーよ】
【ーーー、ーうすーーんーとーーーかーよ】
【ーーー、ーうすーーんーとーーーかーよ】


 自分を乗っ取ろうとしているもう一人の声が、頭に嘲笑うように響いてくる。
 急いでシャワー室へと駆け込み、頭から冷水を浴びる。


「……無理。しすぎた。……アサジさん。強い。から……っ」


 原因なんて、わかっている。流石に道着を着てなかったし、そもそも技なんてかけたくなかったから……。


「……治まってっ。お願いだから。……早く治まってよっ……!」



 必死に頭の声をかき消そうとして、葵は……そのまま気絶した。


 ――――――…………
 ――――……


「……ん? だれ……?」


 どうせまた夜中にアオイから電話が掛かってくるだろうと思って、今日は夜まで寝ておこうと思ったら、夕方メールが入った。


「……ナズナさん……?」


 彼女から連絡が入ってきた。そのメールには電話番号が添付してあって、《時間が空いた時に連絡して欲しい》と一言書いてあった。


『はい、もしもし』

「あ。ナズナさん? ヒナタです」

『ごめんなさいね急に。今大丈夫?』

「はい。なんですか?」


 ――――用件には、何となく予想がついていた。