すべてはあの花のために❽


 体育祭が無事、Sクラスの勝利で幕を閉じたわけだけど。


「(え。また体育館裏の方に行ってるじゃん……)」


 その前にオウリも声を掛けてたから、何か知ってるかもしれないと思ってオウリのところに行ってみる。


「オウリ、あいつまたあそこ行ってるんだけど」

「(こくり!)」

「大丈夫なの?」

「(こくこく)」

「……そう」

〈心配なら行ってきなよー〉

「いや、オレはいい。大丈夫ならいい」

「??」

「誰といるか知ってるから、そんなこと言ってるんだよね?」

〈うん! 
 おじさんといるよ!〉

「……エンジュさん? 何しに……」

〈わかんない!〉

「そんな自信満々に言われても……」


 そうこうしているうちに、そろそろ片付けも終わりそうで業者の人たちが「おやかたー」って叫んでた。


「そろそろ時間だね。オウリ、また迎えに行ってあげてよ」

〈ひーくんは行かないの?〉

「うん。オウリが来てくれたら、あいつきっと喜ぶよ」

〈ほんと!?〉

「うん、だから行ってあげて?」

〈行ってくるー!〉


 ……なんだろう。本当に兎の尻尾と耳が生えたように見えた。



「わたしが羽交い締めにされてた時に聞いたのは」


 あの時何があったのか聞いたら、縛られてた人たちを助けたみたいで、あいつもいろいろその犯人に聞いてたらしい。


「それで? その仕掛けてきた奴らは、あんたが目的だったわけ?」

「そこまでの目的は聞けなくて」


 ごめんなさいと、あまりにもすんなり出てくる謝罪の言葉に、少し違和感を感じた。


「……実は敢えて覚えなかったの。常習犯なら見た目くらいすぐ変えるだろうと思って」


 そう言ってるけれど……。


「(……なんか隠してる)」


 さっきのこともだし、その時何かされたかと質問した時もどこかおかしかった。


「(それに、こいつが覚えられないことなんてない……)」


 意識して覚えてないから、そう言ったのかもしれないけど。


「(……今日もきっと、アオイから電話掛かってくる。その時に聞いてみよう)」


 疲れ果てて眠かったけど、コーヒーでも飲んで待っていようと思った。