すべてはあの花のために❽


 アオイの頭をやさしく撫でる。


「……こんなに思われて、葵は幸せ者なのにね」

「え……?」

「ううん。……早く、好きって気持ちに気がついたらいいのにねって思っただけ」

「……そう、だね」

「……その相手がさ」

「ん?」

「……ひなただといいなって。……わたしは。……おもって……」

「(え。めっちゃ寝付きいいじゃん……)」


 なんだったんだ、さっきのは。茶番か。


「(……誰かの温度がそばにあると、あったかくて気持ちいいもんね)」


 繋いでいる手を見つめる。


「(いつ振りだろう。手繋ぐの……)」


 抱き締めたのだって、あの時以来だ。


「(え。もしかしてアオイ、自分のためって言うよりも……)」


 オレのために、あんな我が儘を言ってくれたとか……。


「~~……っ!」


 まるで心の中を読まれてるみたいで、無性に恥ずかしくなって突っ伏した。


「(なんなんだよ。もうっ……)」


 ハナが起きるまでに、必死に熱を静めていた。