すべてはあの花のために❽


「話を戻すと、だから今は……まあちょっと削られたけど、ただアオイが出てきてるだけって考えたらいい?」

「そう。でも、葵の時間がMAX短くなっても、わたしと逆転するだけだから完全には消えないよ」

「その時間帯も2~4時?」

「そうだね。だから、20歳になるまでか結婚して名前が変わる前に名前を呼んでくれたら、葵は返してあげられるんだ」

「……結婚ってどのタイミング?」

「え? ……そうだな。どこにする?」

「決められるの?」

「だってさー。婚姻届出して、はい終わりって嫌じゃん!」

「そ、そう……」

「だから、結婚式を挙げる時に、葵が『誓います』って、神様に誓ったらにする!」

「そこはさ、誓いのキスの時とかじゃないの、普通」

「葵には、望んでもない相手とキスなんてさせたくないからね」

「……だったら、それまではハナは消えないってことだね?」

「うん! 絶対に! 誓います!」

「でも、そっか。そこが一番最短で消える時ってことだね」

「だから早く呼んであげて? あそこから、助けてあげて欲しいんだ」

「うん。頑張るよ。……だから、アオイも手伝ってね」

「うん。葵のためならなんでもする」


 そう言ってくれてよかった。コズエ先生だけじゃなくて、ほぼ本人に近い人がこちら側についていてくれるなんて、これ以上心強いことはない。


「でもさ、なんでヒナタはこんなにいろんなこと知ってるの? それに、なんでこんな危険な人たちの写真も……」

「そのことなんだけど、オレもつい最近知ったんだ。実は、雨宮先生を潜り込ませる手伝いもさせられた」

「え……!?」

「って言っても殆ど何もしてないんだけど。その時先生は、ルニをハルナの方だと思ってたから、弟のオレが何か知ってるんじゃないかってことで、協力をお願いしてきたんだ」

「なるほど……」

「写真は、潜り込んで先生がこっそり撮ったもの。先生の方は彼らと面識はあるみたいなんだけど、彼らの名前まで知らなかったから、教えてくれてありがとう」

「ううん。それは全然いいんだけど……理事長は?」

「……ちょっと遡るんだけど。ハナがさ、オウリを助けた時があったでしょ?」

「おうり…………あ、ウサギくん?」

「そ、その時にハナだって気がついて。あの花畑まで行ったんだ」

「え」

「……そこでね。ハナが、オレを殺してごめんって言ったのが、聞こえたんだ」

「…………」

「盗み聞きだったけどね。だから、ハナが学校に行ってなかったのも知ってる」

「……学校には、行ったことある」

「え?」

「そういう学校にね、行かされたんだ。家の命令で」

「……そう、なんだ」

「まああっという間に卒業したけど、体育祭みたいなのは、楽しかったみたいだよ? 案出してたでしょ? 障害物とか」

「それは、……そうだけど」

「きちんとした学生生活は送れなかったから。……今、すっごい楽しいみたい」

「……うん。見ててわかる」

「でも……そっか。聞かれてたんだ」

「ごめんね? でも、オレはどうやったってハナを、葵を嫌いになんてならないから。そこは安心して」

「ははっ。……うん。心強い」

「そうなのかどうかはわからなかったんだけど、その時にアオイの話を聞いて、やっぱりそうだったんだなって思った」

「……傷ついた。よね。ごめん」

「オレらよりもよっぽどアオイたちの方が傷ついてるじゃん。だからお相子だし、助け出してあげたいって思ってるからね」

「……ありがとっ」

「そこで、制服が桜だったから、編入してきたんだと思ったんだ。まさか、一個上だとは知らなかったけど」

「そうだね。去年、編入してきたんだ」

「だから、理事長なら何か知ってると思って話を聞きに行ったら、理事長は先生から話を聞いてたみたいで、オレがルニだってすぐにわかったみたいなんだ。まあ、ルニってのは知らないけど、仲が良かったくらいかな」

「先生から話を聞いてたの? 理事長って」

「本当は、中学の時編入するんだったんだよね」

「うん。ルニを消されて、葵はまた情緒不安定になってたんだ。でも、わたしももうつらくって、表に出られなくって。葵の状態でただずっと泣き続けて、学校どころじゃなかったの」


 やっぱりあの時、ハルナの言うとおり早くあそこに行けば、ハナはこんなに傷つかなかったのかもしれない。