すべてはあの花のために❽


「(……ハイビスカス、か……)」


 誰かに渡してもらうっていう手もアリだ。現に、ユズからロザリオを預かったのはオレだ。
 それをカナに渡したんだし。ユズみたいに誰かに頼むのもアリだよね、うん。


『……これ。かなくんに渡して欲しいの』


 人を警戒してしまうようになってしまったと、謝罪の電話を入れたらユズはそうオレに頼んできた。


『ひなくんは悪くないよ! ……いろいろ考えてくれて、ありがとね』


 そんなこと言われたって、結局はカナを傷つけた。ユズの代わりに、守ってやれなかった。


「(ユズのことも、あいつはすくってやるかもしれないな)」


 もしその時が来たら、ユズにも連絡をまた入れることにしよう。


「(……オレには、渡す勇気はない。自信だってない)」


 こんな綺麗な花。オレには持つことすら……。


『自分に自信がないなら、つくまで貸してあげるからね』

「(ハルナ……)」


 それは、今でも有効だろうか。貸して、くれるだろうか。


『ひなにあの子を助ける勇気が出るなら、いつまででもあたしのこと、貸してあげるからね』

「(……助ける勇気とは違うけど)」

『その勇気は、あたしは貸してあげられない』

「(……その勇気とも違うんだけど)」


 ただオレが、あいつにあげたいなって。思っただけで。


「(……渡そうと思った時、やっぱりダメだったら借りる! ごめん! ハルナ! ちゃんと返すから!)」


 心の中でそう言って、画面の購入ボタンを押すことにした。


「(……さてと。取り敢えずチカを一発殴っておくかな)」


 きっとそれで、オレの言いたいことはわかるんだろうから。