すべてはあの花のために❽


 最近アキくんがぼうっとすることが多くなった気がする。それも、ハナは気にかけているようだった。


「(……おかしくなるって言ってたけど、甘いもの好きになって、時々ぼーっとするくらいで……)」


 今はまだその程度で、アキくんがぼうっとすることなんて結構あったから、よくわからない。


「(キクの誕生日会か……)」


 半分ずつに分かれて、今はこっそりキクの誕プレを選んでる。


『花はね! 向日葵がいいと思うんだ!』


 キクにあげるのに、それが絶対いいんだとハナは言っていた。


「(ハナが、ほんの少しだけ自分のことをわかってと、言ってるみたいだ)」


 オレがハナのことを知ってるから、そう思うだけかもしれない。普通に考えて、この季節だし。それが定番だって思うかもしれない。


「(ハナも、みんなが好きになったんだな)」


 自分が勝手にそう思うだけだ。でも、ハナの表情はいつも明るかった。それを見るだけで、オレも嬉しかった。


「……あ」

「ん? どうしたんだよ、ヒナタ」


 店先に、造花だったけど真っ赤なハイビスカスがあって、それがとても綺麗だった。


「(へえ。花言葉は『勇敢』。ピッタリじゃんハナに)」

「ど、どうしたんですかー? ヒナター?」


 そこには、花言葉も一緒に書かれたカードが添えられていて、それも一緒に読んでいく。


「(『新しい恋』……)」

「ヒナター……」


 ハイビスカスは1日花と言われていて、一日で萎んでしまうけど、たくさんの花が次々と咲く様子からこの花言葉がついたらしい。


「(……咲く時間が、短いのか)」

「無視しないで~……」


 ますますあいつに似てるなと、思ってしまった。恋をしたら、あいつはもっと幸せになれるかなと。


「(……でも、それはオレじゃない)」

「……ヒナタ?」


 こんな自分を知れば、絶対にハナはもうオレに近寄ろうなんてしない。
 ……そう思ったら少し、ううん。すごい、悔しかった。つらかった。


「(……花、か)」

「………………」


 あの時も白詰草の冠あげたら、初めは戸惑ってたけど嬉しそうだった。


「(でもあげるならさ、こんな一日で萎むんじゃなくて、造花じゃなくて)」

「………………」


 もっと綺麗なままで、咲いてる時間を延ばすことができた花を、あげたい。