すべてはあの花のために❽


 だから、そばでハナが電話を終わるまで待ってたんだけど。


「(……雰囲気もだけど)」


 電話が掛かってきてすぐ。一瞬、ハナが例の仮面をつけたような気がした。気のせいかもしれないけど。


「(はあ。ほんと、知りたがりさんだな)」


 それからハナが、なんでオレがこの件に関して知っていたのか聞いてきた。昔っからそうだ。自分が知らないことに関してはすぐに食いついてくる。


「(願いを叶える邪魔にならないように……)」


 本当のことなんて、一生話すことはないんだろうけど。
 ……願い叶えてくれて、ありがとう。ご褒美って言うよりも、お礼だろうな。この話をしてあげるのは。


「上手くいくかはわからなかったけど、彼女に信用して欲しかったから」

「……そっか」

「それに親も、自分の子どものこと、ちゃんと知りたいでしょ」

「……。……うん。そうだね」


 ……何。今の間。


「まあその後、あんたたちから奪還するんだって聞いて、望んだものじゃないってわかったのと、時間と場所もちゃんとわかったから連絡したってとこ」


 今一瞬、ハナの雰囲気が怖くなった気がした。


「(もしかしてこれが、もう一人のハナ……?)」


 まだ会ったことがないからわかんないけど。


「それで君は、賭けに勝ったと」

「……だったら?」


 勝ったも何も、オレがメールしなくたって、ハナの言葉できっと行きたくなってたと思う。


「ヒナタくん」

「……何」


 何を言われるのかと思った。
 余計なことを……とか。でもオレなりにしたことだから、間違ってなかったと思う。


「ありがとうっ!」

「は?」

「そしておめでとう!!」

「うわあっ!」


 そう言って急に抱きつかれた。
 準備してなかったけど、前みたいに支えきれずに事故、……なんてこともなかった。しかもめっちゃ褒められた。何MVPって。


「(彼らの情報を握ってたのは理事長だけど。……でも、行動したのはオレだから、素直に受け取っていいのかな)」


 でも、それはそれで受け取っておくとしてだよ。


「トーマとキスしたの?」

「ぐはっっ!!」


 え?


「ねえ本当に? キスしたの?」

「ぐふっっ!!」


 え。


「……マジで?」

「……い、いえ。これは、その。ちがくて……ですね」

「何が違うの。顔が赤いこと? 耳まで赤いこと? キスしたこと?」

「ぐほっっ……!!」


 そのあと、ノックダウンしたハナがおかしくて、思わず吹き出した。


「ごめんごめん。わかった。これ以上は聞かない。その代わり」


 オレもあんたに言いたいことがあるんだ。
 トーマに言われたからじゃない。ずっと言おうと思って、会いに行ったら電話してたんだから。