それから新歓当日。新幹線の中で、キサ奪還の話を聞いた。
「ちなみにオレは奪還作戦行かないから」
「はあ!? おいヒナタ! どういうことだよ!!」
「は? そのままの意味だけど。生徒会だから仕事する必要はあるし、一応新入生だから楽しむ権利もある」
作戦を聞いたけど、オレは絶対に行かない。
「(だって、母親の方には〈一応名前は伏せておいてください〉って言ってあるとしても、誰かがオレの名前呼んでみろ。絶対に、犯罪者として見られるか、良い人だったら温かい目で見られる。……ぜーったい嫌)」
それに、これはハナが叶えないといけない。どこまで手伝っていいのか悪いのかわからないけど、多分それはハナ基準だろう。
「(ハナが助けてって言わないと、表立って手を貸せない……)」
自分ができて、ハナが考えそうなとこのギリギリライン。
「……父親は、〈常に照準合わせておく〉って言っておこ。母親は……」
ハナはあの人を巻き込もうとするだろうか。そこがギリギリだ。
「(……ハナは多分、『願い』で多くの人のこと、助けようとする)」
だから、きっとハナは母親のところには行くと思う。
「(これは、オレの賭けだ。ハナならきっと、彼女も巻き込むよ)」
それからオレは、結婚式の日程と『最後の賭けのメール』を準備する。
「(きっと彼女を説得するはず。巻き込んだら、絶対に彼女を動かすはずだ。……どうかキサに。一目会って欲しい)」
自分の本当の親を、子どもは知っておきたいはずだから。



