それから、案の定みんなが落ちた。あんな、涙いっぱいで最高の笑顔を向けられたりなんかしたら、顔が赤くなるのなんて抑えらんないよ。わざとやってんのかと思うくらいだ。
「(……いいんだ。それで。ハナが幸せになれるように、オレも頑張らないと)」
さてとと、例のスマホで電話帳を開く。
「(なんとまあご丁寧に、誰の親とか名前とか、住所までばっちり調べてあるし……)」
それから今、何をしてるかとかも。……やっぱり怖いわ、海棠。
「(この人たちの人柄までは、わからないからな……)」
でも、取り敢えずキサを捨てたというわけではないらしいし。
「(ま、父親なんかは、妊ってたのも知ってたのか怪しいし……)」
それからオレは、母親には自分の名前とやさしい内容を、父親には脅迫のメールを送ることにした。
「(履歴とか残らないって理事長言ってたし、思う存分脅迫してやろー)」
というのは半分冗談で、ただキサに一目でもいいから会って欲しかったんだ。
「(これで、キサの問題は解決するかな……)」
そう思っていた矢先、キサが学校を辞めると言い出した。なんでかなんて、大体の予想はみんなついた。
『婚約者と何かあるんじゃないか』
このままでいいかなんてわからなかった。でもキサめっちゃ頑固だし、何より最近、キクの姿を生徒会室で見てない。
殆ど来ないけど、それでもなんか、わざと避けてるような気がしてならなくて。
「……あんたさ。どうしてそんなに楽しそうなの」
歓迎会のプランの提案をしたハナが、やけに楽しそうだった。オレは、それがなんでなのかってのはわかってたけど、中にはやっぱり張り切りまくっているハナに疑問を感じてそうな人もいたから。
「それは、前にわたしは同じことを言ったのでもう言いませーん」
でも、結局言葉にはしなかった。
「……ちゃんと、ハッキリ言えよ……」
ぼそっと出たのはそんな言葉。ハッキリ言葉にしないと、相手に伝わらない場合もあるんだ。
それを知って欲しかったのに、落ち込んでたら勝手に頭撫でてくるし……。
「(……ま。嫌じゃないけど)」
ただ俯いて、緩む頬を。ちょっと早く、トクトク鳴る心臓を。……そっと隠してた。



