すべてはあの花のために❽


「(あーあ。バカだねチカ)」


 ハナに攻撃を仕掛けようとしたら、あっけなく吹っ飛ばされた。


「(……ハナ、ほんとに強かったんだ。どうせなら鼻フックの方やってくれたらよかったのに)」


 ま、写真は連写でばっちり撮っていたので、これをダシにしてっと。


「それじゃあ、もう一度聞くね? この写真ばらまかれたくなかったらー」

「そんなのいちいち言わなくてよくない? そもそもあんたさ、この写真ばらまかれたい? ばらまかれたくないよね? てことで雑用係、ヤレ」

「わ、わかり……ま、した」

「はあ? 聞こえないんだけど」

「わかったって言っとんじゃい! こんの悪魔がああ!!」


 ……はあ?


「……へえ? あんた、覚悟しときなよ」


 なんなの、ハナのくせに。
 やっぱりオレに、気づかないんだね。


「(……ていうか悪魔はないよね。ハナのためにしてるのにー)」


 小さくため息をつく。
 呆れと安堵、それから。ほんの少しだけ喜びを混ぜて。


「ふう。…………だってさ、アキくん」


 きっと楽しいよハナ。たくさんみんなが、笑顔にしてくれる。
 そんな貼り付けたようなものじゃない、あの時の笑顔をもう一度、見させてくれる。


「(……今のオレじゃ、笑顔にはさせてあげられないから)」


 だから代わりに。オレの大事なみんなに、笑顔にさせてもらって。


「ということで。今日からお前は生徒会の雑用係だ」

「せっ、せめて庶務って言ってえぇ……!」

「(……みんな、きっとハナのこと好きになる)」


 チクッとした胸の痛みには、気付かない振りをして。


「(選ぶのはハナだ。オレは、ハナが幸せなら。助かるのなら。それが一番嬉しいんだから)」


 それから、陰で見守るとか言ったくせに、みんなの流れに乗っかってハナと友達になってしまった。


「(嫌なわけじゃないんだけど、あのハナの鋭さ。……オレのことも、もしかしたら気づく日が来るかもしれない)」


 それだけは嫌だった。
 自分が、ルニだということも。自分が汚れきった存在だということも。ハナには、……バレたくなかったんだ。