すべてはあの花のために❽


 そして、やっとみんながまとまって話す時、そう言ったハナに驚いてみんなが一斉にあいつのことを見る。


「(え。……はな?)」


 この時、はじめてしっかりちゃんと見たと思う。そこには、オレが見たことないような。距離を感じる表情を貼り付けたハナがいた。
 それっぽい理由を並べて言うハナの表情の奥には、めっちゃ悔しそうな感じが滲み出ていた。


「(いや、やりたいならやればいいじゃん)」


 まあでも、


「理事長。あと菊。道明寺さんと話したいことがあるから、少し席を外してもらっていいか」


 っていうアキくんの合図で、オレらの交渉という名の脅しが始まるのだけど。


「(まあここで逃したら、中学の時みたくアキくんが本気で糖尿病になるかもしれないし。代わり探すのとかマジめんどいし。もうやりたくないし)」


 それに、なんだかんだでハナがオレに気づかなくたって。そばにいてくれるだけで、寂しさがなくなっていた。


「あ、どうして? って顔してるね、道明寺さん」


 キクと理事長が出ていったあと、オレらの交渉が始まる。
 すべてはオウリとアキくんのため。……まあ若干オレは、不純な動機のため。


「はい、そうですね。皆さんと話をする理由が特に思いつかないので……」


 みんながハナに声を掛けていくけど、ハナはさっさとこの部屋から出ようとする。


「(きっと、ハナもみんなのこと好きになる。オレも好きなんだ、みんなが。……大事なんだ)」


 あの窮屈な家から出せない間。少しの幸せを、君に――――……。


「あんた、バカだね」


 偽っていた頃の自分を隠して。
 君から、……見えないそばにいたい。