そして、やっとみんながまとまって話す時、そう言ったハナに驚いてみんなが一斉にあいつのことを見る。
「(え。……はな?)」
この時、はじめてしっかりちゃんと見たと思う。そこには、オレが見たことないような。距離を感じる表情を貼り付けたハナがいた。
それっぽい理由を並べて言うハナの表情の奥には、めっちゃ悔しそうな感じが滲み出ていた。
「(いや、やりたいならやればいいじゃん)」
まあでも、
「理事長。あと菊。道明寺さんと話したいことがあるから、少し席を外してもらっていいか」
っていうアキくんの合図で、オレらの交渉という名の脅しが始まるのだけど。
「(まあここで逃したら、中学の時みたくアキくんが本気で糖尿病になるかもしれないし。代わり探すのとかマジめんどいし。もうやりたくないし)」
それに、なんだかんだでハナがオレに気づかなくたって。そばにいてくれるだけで、寂しさがなくなっていた。
「あ、どうして? って顔してるね、道明寺さん」
キクと理事長が出ていったあと、オレらの交渉が始まる。
すべてはオウリとアキくんのため。……まあ若干オレは、不純な動機のため。
「はい、そうですね。皆さんと話をする理由が特に思いつかないので……」
みんながハナに声を掛けていくけど、ハナはさっさとこの部屋から出ようとする。
「(きっと、ハナもみんなのこと好きになる。オレも好きなんだ、みんなが。……大事なんだ)」
あの窮屈な家から出せない間。少しの幸せを、君に――――……。
「あんた、バカだね」
偽っていた頃の自分を隠して。
君から、……見えないそばにいたい。



