すべてはあの花のために❽


 一番最後に、ハナは入ってきた。


「(……気づく、かな)」


 気づいて欲しくはない。だってもう、あの頃の自分がオレだなんて言うつもりはない。でもどこか心の中では、ほんの少しだけ気づいて欲しいって感情があったりもする。


「(……目、合わせらんない)」


 どんな顔をして会えばいいかなんて、考えてなかった。


「(……陰からのつもりなのに。何これ。こいつが選ばれてるなんて聞いてないし。ガッツリ顔合わすじゃん)」


 見つからないつもりだったのに、早速理事長のせいで計画がパーだ。


「あ、あの~。すみません理事長。生徒会のことでお伺いしたのですが……」


 そう言うあいつのことなんか無視して、しばらくマ○カ談義も始まるし。


「(……なんかさっき、オウリから来た連絡もちょっと変だったけど)」


《昨日おれを助けてくれた子と
 友達になってみたいんだ!
 頑張って生徒会に引き止めようね!》


「(……せっかく生徒会に入れて断る奴なんかそういないのに)」


 もしかしたら、昨日オウリが来てたって理事長言ってたから、そこで何か聞いたのかも知れないと思った。


「(まあ、みんなもオウリからそんなこと言われると思ってなかったのか、嬉しそうに賛成の返事を送ってきてたけど……)」


 ちらり。気づかれないように、ハナを盗み見る。


「(……何あれ。何かと交信でもしてんの)」


 微妙な変化だったけど、誰かと会話をしているような感じだった。


「(ははっ。やっぱり変わってる)」


 昔から変わってない変さに、ちょっと嬉しくなったりする。


「申し訳ありません、理事長。わたしは辞退をさせていただきたくこちらへ参りました」