「それじゃあまた明日の放課後、来たらいいんですよね?」
「……そうだね。できれば全速力でここまで来てくれ」
「ぜ、全速力……?」
「見られるところで、守りたくはないんだろう?」
「……わかりました。それじゃあ、今日は失礼します」
「うん。また明日、ね」
そう言った理事長の言葉がちょっと意味深だったけど、それは明日の朝登校してすぐにわかることになる。
「はあ……」
一人残った理事長は大きく息を吐く。
「……ぼくは、自分がしたいようにするよ」
そう言って取り出したのは、新生徒会メンバーが書かれているポスター。
「きっと大丈夫だ。必ず、みんなならあの子のことを助けてくれる。……ううん。みんなしか、あの子を助けてあげられない」
そっと書かれた名前を指でなぞったあと、隠し扉から木箱を二つ取り出す。
小さな、見た目は綺麗な花の装飾が施された木箱は、囚われの象徴。そこにはすでに、蘭、ナデシコ、アヤメ、アネモネ、アサガオ、サクラソウ、ヒナゲシ、牡丹が、所狭しと苦しそうに花を咲かす。
「君たちもきっと、憂いが晴れるよ」
その装飾に施されている、菊、ツツジ、百合を、そっとやさしく撫でる。
そして、その金庫に別に入れられている花を、一度取り出す。
「……不可能か、それとも奇跡を起こすか……」
透明なケースに入れられているだけのその花を、また金庫に戻す。
「彼女がぼくの『願い』を叶えてくれると約束してくれた時。これをこの箱の真ん中に入れた時。すべての歯車が回り出す。……彼女の時間が潰えるのが早いか。それとも『願い』を叶え、君の名を呼び、あそこから助けるのが早いか……」
葵が理事長の『願い』を聞き入れた際、小さな木箱の中央に入れた花は、青い薔薇。
「彼女の味方に。……彼女が、憂いを晴らしたら……」
そうして、もう一つの大きな木箱を取り出す。
「……枯れかけの君の蕾を、きっとみんなが助けてくれるからね」
彼がその大きな木箱の、真ん中の大きな部屋に入れたのは、生花――向日葵の蕾。



