夕方。凜花はベッドに腰かけ、いつものようにライブ動画巡りをしようとスマホを開いた。
すると、朝陽からのメッセージが目に飛び込んできた。
「今週の土曜日、ライブハウス『Brown Sugar』で俺たち『ステラノーツ』がライブやるよ。良かったら来て。もちろん招待するよ」
――本当に、ライブに誘ってくれた……でも招待って。
「行くよ。でも、招待なんてしなくていいよ。ちゃんとステラノーツ枠でチケット買うから」
そう返信した。自分が他校のバンドのライブに行くことになるなんて思ってもみなかった。でも、朝陽がどんなライブをするのか、楽しみにしている自分がいた。
◇◇
その週の土曜日、凜花はライブハウス『Brown Sugar』にいた。
『Brown Sugar』は、『Beat Cellar』の三分の一ほどの広さしかない、小さなライブハウスだ。壁には過去のライブポスターが貼られ、温かみのあるアットホームな雰囲気が漂っている。
ステージには「ステラノーツ」のメンバーが立っていた。朝陽のほかに、リードギター、ベース、ドラム、キーボードの五人編成。キーボードだけが女の子で、メンバーは皆、おそろいのシャツを着ている。
やがて、ライブが始まった。
朝陽はステージの中心に立ち、ギターを弾きながら歌い出す。中性的な透明感のある高い声。ハードな曲はなく、「桜影」のロック色の強い楽曲とは異なり、誰にでも親しみやすいポップなサウンドだ。
「朝陽!」
曲が終わるたびに、客席の女の子たちから歓声が上がる。その人気ぶりに、凜花は少し驚いた。
――真琴みたいになりたいって、全然方向性が違うようだけど……。でも、こういうのもいいかも。
演奏を終えた朝陽がステージを降り、凜花の姿を見つけて駆け寄ってくる。
「来てくれたんだね」
「楽しかった。話すときの声と全然違って驚いた」
朝陽が嬉しそうに笑う。その瞬間、周囲から視線を感じた。耳を澄ますと、ひそひそとした声が聞こえてくる。
「あの子誰?」
「うちの学校の子じゃないよね?」
「なんか、朝陽と仲良さそうじゃない?」
胸がざわつく。
「また来てくれると嬉しいな」朝陽が言う。
「うん……また聴きたい」
視線が気になったが、何とか会話を続け、凜花は『Brown Sugar』を後にした。
すると、朝陽からのメッセージが目に飛び込んできた。
「今週の土曜日、ライブハウス『Brown Sugar』で俺たち『ステラノーツ』がライブやるよ。良かったら来て。もちろん招待するよ」
――本当に、ライブに誘ってくれた……でも招待って。
「行くよ。でも、招待なんてしなくていいよ。ちゃんとステラノーツ枠でチケット買うから」
そう返信した。自分が他校のバンドのライブに行くことになるなんて思ってもみなかった。でも、朝陽がどんなライブをするのか、楽しみにしている自分がいた。
◇◇
その週の土曜日、凜花はライブハウス『Brown Sugar』にいた。
『Brown Sugar』は、『Beat Cellar』の三分の一ほどの広さしかない、小さなライブハウスだ。壁には過去のライブポスターが貼られ、温かみのあるアットホームな雰囲気が漂っている。
ステージには「ステラノーツ」のメンバーが立っていた。朝陽のほかに、リードギター、ベース、ドラム、キーボードの五人編成。キーボードだけが女の子で、メンバーは皆、おそろいのシャツを着ている。
やがて、ライブが始まった。
朝陽はステージの中心に立ち、ギターを弾きながら歌い出す。中性的な透明感のある高い声。ハードな曲はなく、「桜影」のロック色の強い楽曲とは異なり、誰にでも親しみやすいポップなサウンドだ。
「朝陽!」
曲が終わるたびに、客席の女の子たちから歓声が上がる。その人気ぶりに、凜花は少し驚いた。
――真琴みたいになりたいって、全然方向性が違うようだけど……。でも、こういうのもいいかも。
演奏を終えた朝陽がステージを降り、凜花の姿を見つけて駆け寄ってくる。
「来てくれたんだね」
「楽しかった。話すときの声と全然違って驚いた」
朝陽が嬉しそうに笑う。その瞬間、周囲から視線を感じた。耳を澄ますと、ひそひそとした声が聞こえてくる。
「あの子誰?」
「うちの学校の子じゃないよね?」
「なんか、朝陽と仲良さそうじゃない?」
胸がざわつく。
「また来てくれると嬉しいな」朝陽が言う。
「うん……また聴きたい」
視線が気になったが、何とか会話を続け、凜花は『Brown Sugar』を後にした。



