「『桜影』のライブ、かっこよかったね」
凜花は思わず隣の青年に話しかけていた。人見知りしがちな彼女にとって、初対面の男子に声をかけるのは珍しいことだった。それほどまでにライブの興奮が冷めやらず、誰かとこの感動を共有したかったのだ。
「うんうん、最高だった!『桜影』が戻ってきてくれて、本当にうれしいよ。王子様も健在だったしな」
人懐っこい笑顔で話す青年に、凜花の緊張も自然とほどけていく。
「桜陽女子高の子?俺は創星学園の三年、東城朝陽。軽音部でギターとボーカルやってる」
相変わらず爽やかな笑顔を浮かべる彼に、凜花もつられるように自己紹介した。
「私は、桜陽女子高三年の篠原凜花」
自分でも驚くほど自然に言葉が出てきた。朝陽の雰囲気があまりに自然で、何でも話せるような気がしてしまう。
「やっぱり真琴はすげーな。あの存在感、俺もあんなオーラをまといたいよ」
「真琴先輩は、私たちの憧れなの。でも……」
「でも?」
「先輩には、素敵な彼氏がいるんです」
「そっか、それはファンとしては複雑な心境だろうな。でも、応援してるんだよね?」
朝陽の言葉に、凜花は一瞬言葉を失った。
――応援してる。そう、応援しているはずなのに。
彼自身は、真琴に彼氏がいることにショックを受けてはいないようだ。でも、気持は理解してくれた。
「良ければ、俺たちのバンドも見に来ない?」
「えっ?」
「案内送るから、連絡先教えて」
男子と連絡先を交換するのは初めてだったが、不思議と抵抗感はなかった。朝陽の笑顔があまりにも自然で、誘いを断る理由が見つからなかった。
間もなく次のバンドの演奏が始まる。
凜花は思わず隣の青年に話しかけていた。人見知りしがちな彼女にとって、初対面の男子に声をかけるのは珍しいことだった。それほどまでにライブの興奮が冷めやらず、誰かとこの感動を共有したかったのだ。
「うんうん、最高だった!『桜影』が戻ってきてくれて、本当にうれしいよ。王子様も健在だったしな」
人懐っこい笑顔で話す青年に、凜花の緊張も自然とほどけていく。
「桜陽女子高の子?俺は創星学園の三年、東城朝陽。軽音部でギターとボーカルやってる」
相変わらず爽やかな笑顔を浮かべる彼に、凜花もつられるように自己紹介した。
「私は、桜陽女子高三年の篠原凜花」
自分でも驚くほど自然に言葉が出てきた。朝陽の雰囲気があまりに自然で、何でも話せるような気がしてしまう。
「やっぱり真琴はすげーな。あの存在感、俺もあんなオーラをまといたいよ」
「真琴先輩は、私たちの憧れなの。でも……」
「でも?」
「先輩には、素敵な彼氏がいるんです」
「そっか、それはファンとしては複雑な心境だろうな。でも、応援してるんだよね?」
朝陽の言葉に、凜花は一瞬言葉を失った。
――応援してる。そう、応援しているはずなのに。
彼自身は、真琴に彼氏がいることにショックを受けてはいないようだ。でも、気持は理解してくれた。
「良ければ、俺たちのバンドも見に来ない?」
「えっ?」
「案内送るから、連絡先教えて」
男子と連絡先を交換するのは初めてだったが、不思議と抵抗感はなかった。朝陽の笑顔があまりにも自然で、誘いを断る理由が見つからなかった。
間もなく次のバンドの演奏が始まる。



