推しは王子様だけど、恋したのは隣の君でした

 市街地に、赤や緑のイルミネーションが灯り始め、クリスマスが近づいていることを感じさせていた。

 凜花と遥香が学校を出ようとすると、未侑と麻里亜が駆け寄ってきた。

「これから、上埜公園のクリスマスマーケット行くんだけど、一緒にどう?」

「え、今から?」

「土日は混んでてなかなか入れないらしいからね」麻里亜が言う。

「それに、今日はクリスマスライブでバンド演奏もあるみたい」未侑が付け加える。

「それなら行ってみようか」

 四人は制服のまま上埜公園に直行した。

 平日の夕方とはいえ、すでに入場を待つ人の列ができていた。

 四人は列に並び、クリスマスの予定や学校の話をしながら待っていた。

 中に入ると、会場の中心にはライトアップされた大きなクリスマスツリーがそびえ立ち、その周囲を囲むように、クリスマスの装飾が施されたフードショップや雑貨店が並んでいた。

「あそこにいるの、『ステラノーツ』の子たちじゃない?」

 麻里亜の指す方向を見ると、創星学園の制服を着た朝陽、翔、野々花の三人がいた。

「ほんとだ!」

 凜花たちは、三人のもとへ駆け寄った。

「あれ、偶然だね」遥香が声をかける。

「クリスマスライブ、十七時からでしょ? 行くよね?」

「もちろん」

「一緒に盛り上がろう」

   ◇◇

 凜花たちは、ライブの余韻に包まれながら、ライブエリアからマーケットエリアの入り口まで歩いてきた。

「よかったね。これからどうする?」

「俺たちは、気になる雑貨店があるから見に行くよ」

 翔と野々花は微笑みながら言い、雑踏の中へと消えていった。

「なんか、ビールばっかりだね」周りを見回しながら遥香がつぶやく。

「ドイツのスイーツが食べられるところがあるらしいよ」麻里亜がマップを指さした。

「いいねえ」未侑が同意し、二人は足早に向かっていく。

 遥香はふと立ち止まり、凜花と朝陽に視線を向けた。

「私も行こっかな」

 そう言って、軽く手を振りながら未侑と麻里亜を追いかけていった。

 気づけば、凜花と朝陽の二人だけが、ライブエリアに残されていた。