すべてはあの花のために⑦


 ――ガチャ! がつん!


「あーちゃん無事!?!?」


 扉を開けたところに、ボロボロになったオウリが、どや顔で立っていた。そのまわりには、屍の如く何故か全員が倒れていた。
 ちなみに、葵の後頭部には大きなたんこぶが出来上がった。扉を開ける強さというか、速さというか。それが尋常じゃなかったみたいで、二人して倒れていた。


「ちょ!? ひーくん! あーちゃんに兄してるの!?」

「いや、したのはお前だと言いたい」

「なんであーちゃん抱き締めてるの!? なんであーちゃんひーくんの上でのびてるの!?」

「だから、お前のせいだって……いや、おかげか。ありがとうオウリ。助かった」

「え? な、何が??」

「(危うく手、出すとこだったし。……つうか、こいつもなんで避けないのっ。ばか)」

「え!? あーちゃんすっごいたんこぶじゃん! 誰にやられたの!?」

「だからお前だって言ってるだけど」

「え? おれ?」

「ちゃんと中に人がいるの確認しなさいって、言われなかった?」

「言われた~」

「今度からは被害者が増えるから、ちゃんとコンコンするんだよ?」

「はーい」

「いい返事」


 そう言いながら、ヒナタは自分の上で完全にのびている葵のたんこぶをぐっと押さえてあげた。頭がすごい形にならないように。


「ていうか何でボロボロ? 何があったの?」


 ヒナタは葵を抱えながら、起き上がる。オウリは氷を持ってきて、葵の頭に当ててあげていた。


「え? だって、ひーくん最近暴走気味だったから、鍵まで閉めたらあーちゃんに何するかわかんなかったんだ」

「そ、そう(え。オレってそんなに壊れてたの? 自覚ないけど……)」

「だから、あーちゃんを助けようと思って、おれはダッシュでみーくんのとこ行って鍵もらって来たんだけど、三人が邪魔するんだもん。ぶん投げちゃったよね~」

「え。あ、あのさ。なんで、みんな倒れてんの……?」

「ん? 被害者!」

「(いやいや、そんな言葉笑顔で言うようなものじゃありません……)」


 未だにのびている葵が心配だが、頭を触ると「いた……」と、葵が目を開けた。


「あ。起きた?」

「あーちゃん大丈夫? ごめんね、おれが悪かったよお……。今度はちゃんとコンコンするね?」

「……しょう、どうぶつ」

「……!」

「あーちゃん?」

「あ。……悪魔くん。ひっさしぶりー」


 にやりと笑う葵に、二人は嫌な予感が。


「っ、ごめん――」


 一言入れたヒナタは、葵の首裏に手刀を入れた。
 また気絶をした葵は、ヒナタにぐったりと体を預けるように倒れ込む。


「え? ええ? ひ、ひーくん。今のって……」

「オウリ、このこと誰にも言わないで」

「ひーくん……?」

「嫌な予感して、申し訳なかったけど、もう一回気絶させたけど、オレもよくわかんない」

「え。わかんないのに入れたの手刀」

「……また、こいつが気にしちゃいけないから……」

「ひーくん……」

「だから、言わないで? オレらの秘密。こいつにも内緒だよ」

「……うん。あーちゃんの悲しそうな顔見るの嫌だもん」

「うん。それじゃあ、もうそろそろこいつの迎え来る時間だからみんな起こして? ……ていうかレンまで被害受けたの?」

「うん。れんれん一番最初にかなちゃん投げたら死んじゃった」

「(だから、そんな言葉を笑顔で言うなって……)」


 そう心の中で突っ込んでいる内に、オウリは生徒会室の前で死んでいるみんなを起こしに行った。


「……ごめん。もう一個増えたな……」


 ヒナタは葵の体を頭を首裏を、やさしく撫でてやった。