「――――」
「……? ひなた、くん……?」
目を見張った彼が固まったのは、ほんの一瞬。次の瞬間には葵の腰に腕を回し、頬に滑らせるように手を添えた。
その触り方がくすぐったくて、葵の体が小さくはねる。
「…………」
「ひ。……ひなた。くん……?」
熱っぽい視線に見つめられ、逃げられない。
「……呼んで?」
「っ。え……?」
「なまえ。……呼んで? オレの、名前」
「……ひなた。くん?」
「もう一回」
「ひなたくん」
「もっと」
「ひなた。くん」
名前を呼ぶ度、彼の顔が近くなってくる。
「うん。……もっと」
「……ひなた、くん……」
「うん。……あおい」
「……!!」
「呼んで」
「ひ、……。ひなたくん」
「あおい」
「ひなた……。くん」
もう、目の前。近すぎて見えないくらい、視界いっぱいに広がって。
「……あおい」
「……ひなた、くん……」
お互い、そっと小さく名前を呼んだあと。ゆっくり瞳を閉じた――。



