「つ、つぎは。……あー」
言いたくない。言ったら絶対『下僕のくせに、兄貴の横に結婚式に並ぶとかいい度胸』って言われる。
「……ツバサは? なんて言ったの」
「あーうん。……け、化粧を。少々……」
「それから?」
「……っ」
「……うわ。思い出して赤くなってるとかキモ」
「だ。……だって」
「なんて言われたか、オレが言ってあげよっか」
でも、みんなには聞こえていなかったはずと思っていると、耳元でそっと囁かれた。
「……あんたがすき」
「――!!」
「なんで休むの。オレのそばにいてよ。ずっと」
「……っ、ひ。ひな……っ」
「絶対あんたをあそこから助けてあげる」
「ちょ。……ほんと、やめっ」
「あれ? 違う?」
「…………。ち、ちがう。く、ない……っ」
真っ赤な顔で俯く葵を、満足そうにヒナタは見つめていた。
「だと思った。兄貴の考えてること、大抵わかるんだよね」
「そ、そうですかっ(……その兄貴は結婚まで言ったけどね)」
「次…………は飛ばして。アカネは?」
「……飛ばす?」
「うん。あれは最後」
「……月曜日は、カオルくんのこと聞かれた」
「何聞いたの?」
「……ごめんね。言えない」
「言いたくないんじゃなくて?」
「……りょ、両方。かな」
「そ。いいよ。……さっきは?」
「……皆さんに、よろしくって。お茶しましょうって」
「それから?」
「……帰ってきたら、お話ししたいことがあるからって、伝えてもらうことにした」
「……? 何を?」
「……言いたく、ない」
「そっか。わかった」
「チカく…………あー。彼もすっ飛ばして」
「チカは? なんて?」
「(くれないのね……)寂しくない? って聞いたの」
「……そう」
「チカくんのご両親にも、フジカさんにも会わせてねって」
「うん。それで?」
「……ツンデレが恋しい」
「は?」
葵は、本当に大きなため息をついた。
「わたしのせいでツンデレがなくなったとか、こんなに積極的になったんだーとか何とか言われて、散々だった」
「…………」
「でも、ちゃんとわかってくれるって。絶対嫌いにならないって。……そう言って頭ぐしゃぐしゃにされた」
するとヒナタは、葵の目の前に顔を持ってくる。
「え? ひな」
「抜けてる」
「え? ちょ、ちか……っ」
「こうされてる時あったでしょ」
「……!!」
「あんた目、つむった。……どういう意味か、わかってんの? ねえ」
「え? ご、ごめんなさい?」
「わかってないのに謝んなよ」



