「それじゃあ行きます。10秒前……」
「え!? ちょ、ほんとにするの!? 心の準備が……!」
「9、8、7、6……」
「はあ。こ、こわいなあ……」
「5、え? なんで?」
「絶対にキレられる。……わたし今日で息絶えるかも」
「4、3、……多分大丈夫」
「っ、え……?」
「2、……あいつは異常なだけだから。あっちゃんと似てる」
「え? それってどういう――」
「いちっ! ……っ、――ぜろっ!!」
キサは、弾かれるように葵から体を離す。
「茜! 桜李とチカと、ついでに圭撫を確保!」
「あいあいさー!」
「え!?」
「おい!?」
「なにー?」
アカネはガシッと彼らを掴んで生徒会室からポーイっと放り投げた。
「秋蘭! 翼と月雪くんを確保ー!」
「アイアイサー」
「は!? なんだよ!」
「出ればいいんですね」
アキラは、空気が読めたレンに一つ頷いて、ツバサを肩に担いでそのまま外へ。
「え? 何やってんのみんな」
「あっちゃんがしないみたいなので、日向! あんたに重大任務を授けます!」
「は? 何」
「あたしたちが出たら、急いで扉を閉めて鍵を閉めてあっちゃんを出すな!」
「は?」
「いいか? ちゃんと話すんだぞ? 頑張れ弟よ! 姉ちゃんからのプレゼントだー!」
ガチャッと扉を閉めた向こうでは、なんだかギャーギャーと叫んでる声が聞こえる。
「え? ……よくわかんないんだけど、鍵閉めていいの? あんた、オレと二人きりになるよ? 嫌でしょ?」
「……まあ、キサちゃんたちが折角こうして話せる機会を作ってくれたから、便乗するよ」
葵が返答してきたことに、ヒナタは目を見開いて驚く。
「……閉めないの?」
「え? 閉めていいの? 本当に? てか……え? オレと話してくれるの? なんで?」
どうやらヒナタは閉める気がないようだったので、葵が扉まで行って閉めてきた。
「はあ。……まずいなあ」
「だったらなんで閉めたの。開けたらいいじゃん」
「だって。折角みんなが気を利かせてくれたんだもん」
「……だったら、オレと話してくれるの?」
「今だけならね。……もう遅いし」
「は? どういう意味?」
「ううん、なんでもない。…………これでもう、わたしは」
「……取り敢えずさ、話そ? 呼んで? オレの名前」
「え? ヒナタくん?」
「……、うん。……もう一回」
「……ヒナタくん?」
「いっぱい呼んで? ……それだけでオレは十分」



