すべてはあの花のために⑦


「それじゃあ行きます。10秒前……」

「え!? ちょ、ほんとにするの!? 心の準備が……!」

「9、8、7、6……」

「はあ。こ、こわいなあ……」

「5、え? なんで?」

「絶対にキレられる。……わたし今日で息絶えるかも」

「4、3、……多分大丈夫」

「っ、え……?」

「2、……あいつは異常なだけだから。あっちゃんと似てる」

「え? それってどういう――」

「いちっ! ……っ、――ぜろっ!!」


 キサは、弾かれるように葵から体を離す。


「茜! 桜李とチカと、ついでに圭撫を確保!」

「あいあいさー!」

「え!?」
「おい!?」
「なにー?」


 アカネはガシッと彼らを掴んで生徒会室からポーイっと放り投げた。


「秋蘭! 翼と月雪くんを確保ー!」

「アイアイサー」

「は!? なんだよ!」
「出ればいいんですね」


 アキラは、空気が読めたレンに一つ頷いて、ツバサを肩に担いでそのまま外へ。


「え? 何やってんのみんな」

「あっちゃんがしないみたいなので、日向! あんたに重大任務を授けます!」

「は? 何」

「あたしたちが出たら、急いで扉を閉めて鍵を閉めてあっちゃんを出すな!」

「は?」

「いいか? ちゃんと話すんだぞ? 頑張れ弟よ! 姉ちゃんからのプレゼントだー!」


 ガチャッと扉を閉めた向こうでは、なんだかギャーギャーと叫んでる声が聞こえる。


「え? ……よくわかんないんだけど、鍵閉めていいの? あんた、オレと二人きりになるよ? 嫌でしょ?」

「……まあ、キサちゃんたちが折角こうして話せる機会を作ってくれたから、便乗するよ」


 葵が返答してきたことに、ヒナタは目を見開いて驚く。


「……閉めないの?」

「え? 閉めていいの? 本当に? てか……え? オレと話してくれるの? なんで?」


 どうやらヒナタは閉める気がないようだったので、葵が扉まで行って閉めてきた。


「はあ。……まずいなあ」

「だったらなんで閉めたの。開けたらいいじゃん」

「だって。折角みんなが気を利かせてくれたんだもん」

「……だったら、オレと話してくれるの?」

「今だけならね。……もう遅いし」

「は? どういう意味?」

「ううん、なんでもない。…………これでもう、わたしは」

「……取り敢えずさ、話そ? 呼んで? オレの名前」

「え? ヒナタくん?」

「……、うん。……もう一回」

「……ヒナタくん?」

「いっぱい呼んで? ……それだけでオレは十分」