「え。どうした葵。お腹痛い? それとも気持ち悪い?」
アカネと交代で入ってきたアキラが、しゃがんで葵の背中を摩ってくれている。
「大丈夫っす。改めて今、リスク確認を終えたとこなだけです……」
「??」
アキラは首を傾げているが、普段の葵を見られて嬉しいのか、少し頬が緩んでいた。
「葵? 少し話してもいいか?」
「うん。もちろんだよ」
椅子に腰掛け、アキラが話し出す。
「今のお前には、ちゃんと知っておいてもらった方がいいと思ったから話す」
「……うん。何をかな?」
「葵が、シン兄宛に送った大荷物。あれに日記が入ってたって、みんな知ってる」
「……みんな、って……?」
「生徒会メンバー。月雪を抜いて。それと杜真。でもそれはまだ見させてもらえてない」
「……シント、なんて?」
「葵からバレンタインの時にもらったカード。あれについてわかったら、葵と話をしろって。それで、もっと葵のことがわかったら、その日記を見せてもらえることになっているんだが……」
「ただでは見せられない、って感じかな?」
「シン兄は、その日記にも細工したらしい。だから、俺らはまずはカードを理解して、お前と話して、お前を理解してやらないと、お前の根本をわかってやれない」
「根本って……」
アキラは不安げな葵の手をぎゅっと握る。
「葵。願いを叶えてくれて、ありがとう」
「……!!」
「みんな知ってるよ。でも、お前は受け取らないだろうから、俺は無理矢理言っただけ。みんなを代表してのお礼」
「……わたし、は……」
「何か理由があるから、お礼を受け取れないんだってことも知ってる」
「え」
「その根本が日記に書いてあるからって、シン兄が言ってたんだ。……俺らみんな、お前のことをわかってやりたいから頑張るよ。それは、お前に無視されてるあいつも一緒」
「…………」
「……葵。何があった。お披露目式あとからおかしいぞ」
「…………」
「……言えない?」
「言う価値もない」
「え」
葵の顔には、般若が貼り付けられていた。
「……あいつも、お前に悪いことしたっていうなら謝りたいのかもしれない。休む前に一言、声を掛けてやってくれないか」
「…………」
「(駄目、か。……茜、やっぱりダメだった)」
扉の外で、ちょっと引き継いで説得を頼まれたが、どうやら無理っぽい。
「(これは新たにみんなと、二人の仲直り計画を立てた方がいいかもしれないな……)」
取り敢えずヒナタのことは後回しにして、アキラは話を続ける。
「あれからシン兄の閉じこもりっぱなしはなくなったけど、やっぱり何かしてるみたいなんだ。……心当たりあるか?」
「え? ……いや、わたしはシントに日記を渡して、最後のお仕事を頼んだだけだから、何をしてるかまでは……」
「その最後の仕事って何だ?」
「ん? みんなに、日記を見せたくなかったんだけど、でも見て欲しくもあるから、その矛盾をお願いしたの」
「……全く意味がわからないんだが」
「それからきっと、シントはいろいろ調べてるんじゃないかなとは思うよ?」
「……それは、葵の知らないところをか?」
「あ。それも言ったんだ、シント」
「それがなんなのか、俺らはそれを探すまでに至ってもないけど」
「大丈夫。信じてるからね?」



