涙を浮かべながら、アカネは不安そうな顔だ。
「アカネくん? 頑張って。頑張ってね?」
「あおいチャン……」
「折角変えられた夢を諦めないで? みんなやさしいから、きっとアカネくんの進む道、応援してくれるよ」
「……っ、あおいチャン」
「応援してるよ? どこにいたって。だって、わたしの家族だもん」
「……あおいチャン……。っ」
「おーよしよし。わたしのこの胸でよければ貸しましょうー」
「……!? そ、それは。……もうちょっと段階を踏んでからで……」
「え? どうした? アカネくん??」
アカネは慌てて体を離して、扉の方へと駆けて行く。
「あ、あおいチャンはっ、そういう無自覚も。治した方がいいと思う……!」
「……治すも何も、元からこれなんだが」
「だったら矯正してくださいっ!!」
「えー……」
そんなことを言いながら、二人はクスッと笑う。
「時間ないけど、今週までいっぱいお話しようね?」
「お手柔らかに?」
「カードも、わかったら教えてね?」
「休みに入ったらなかなか連絡はつかないかもしれないから、今週までに頑張ってね~」
「え!? 聞いてない!」
「なるべくお早めにお願いしまーす」
「努力しまあす。……あおいチャン」
「ん? なに――」
近くまで歩いてきていた葵の腕を取って、アカネはぎゅっと抱き締める。
「早く、帰ってきて」
「……うん」
「超特急だよ? じゃないとみんな、とーまクンになっちゃう」
「……う、うん」
葵の頭の中を、トーマ=ストーカーの式が駆け巡った。
「みんなあおいチャン大好きだからさ? もちろん、あおいチャンがわざとスルーしてる彼も」
「…………」
「何があったのかは聞かないけど、話してあげて? 寂しそうだからさ」
「…………」
「(だめか……)あおいチャン。何かあったら連絡してね? かおるって奴、ぶっ潰しに行くから」
「アカネくん……」
「それぐらい、あおいチャンがおれらも大切なんだ。あおいチャンがおれらのこと、思ってくれている以上に」
「……はは。うん。ありがと」
「……あおいチャン」
アカネは葵の額に、やさしく唇を寄せた。
「そろそろあきクンと代わらないといけないのか。代わりたくないけどおー」
そう言ってアカネは体を離した。
「それじゃあ、タッチ交代してくるね~」
アカネは扉から出て行ったけど……。
「うわ~そうだ。仮面外したら、こっちのリスクも高くなるんだったわ……」
葵は真っ赤な顔を押さえて、しゃがみ込んでいた。



